よくある状態起きること直し方
項目はあるが判定基準がない人によって○の意味が違う項目ごとに「こうなら○」を一行で書く
×の欄しかなく、処置の欄がない異常が見つかったあとが追えない異常と処置を別の表に分けて残す
定期自主検査の期限が別管理期限の直前に気づく点検表と同じ画面に次回期限を置く
種類根拠(労働安全衛生規則)周期中身の例
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作業開始前の点検第百五十一条の二十五その日の作業を開始する前制動装置及び操縦装置の機能、荷役装置及び油圧装置の機能、車輪の異常の有無、前照灯・後照灯・方向指示器・警報装置の機能
月例の定期自主検査第百五十一条の二十二一月を超えない期間ごとに一回制動装置・クラッチ・操縦装置、荷役装置・油圧装置、ヘッドガード・バックレストの異常の有無
年次の定期自主検査第百五十一条の二十一一年を超えない期間ごとに一回原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、荷役装置、油圧装置、電気系統など9項目
設備定期自主検査の周期記録の保存根拠
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フォークリフト一月を超えない期間ごと/一年を超えない期間ごと三年間労働安全衛生規則 第百五十一条の二十一、二十二、二十三
動力プレス一年以内ごとに一回三年間労働安全衛生規則 第百三十四条の三、第百三十五条の二
動力により駆動されるシャー一年以内ごとに一回三年間労働安全衛生規則 第百三十五条、第百三十五条の二
クレーン一月以内ごとに一回/設置後一年以内ごとに一回三年間クレーン等安全規則 第三十四条、第三十五条、第三十八条
有機溶剤業務に係る局所排気装置一年以内ごとに一回三年間有機溶剤中毒予防規則 第二十条、第二十一条
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点検項目の決め方

法令で項目が決まっている設備は、条文をそのまま写す

動力プレスの作業開始前点検なら、第百三十六条に6項目が並んでいます。クラッチ及びブレーキの機能、ボルトのゆるみの有無、一行程一停止機構・急停止機構・非常停止装置の機能、スライド又は刃物による危険を防止するための機構の機能、金型及びボルスターの状態、シャーにあっては刃物及びテーブルの状態。 これを言い換えずに、条文の言葉のまま点検表の項目にします。表の欄外か、設備の情報欄に「労働安全衛生規則 第百三十六条」と根拠を書いておくと、監督署の調査でも、社内の引き継ぎでも説明が早い。

決まりのない設備は、止まると困る順に並べる

コンプレッサーや搬送コンベヤ、切削油の供給装置のように、点検項目が法令で決まっていない設備のほうが、工場には多いはずです。この場合は次の順で絞ります。 1. 止まると生産が止まるもの(油量、圧力、異音) 2. けがにつながるもの(覆い、非常停止、漏電) 3. 品質に響くもの(温度、フィルターの目詰まり) 項目は、1設備あたり5〜8個。毎日やるので、5分で終わらない表は続きません。過去の不具合報告書を10件ほど読み返して、繰り返し出ている事象を項目に足すと、実際の故障とつながった表になります。

判定基準を項目ごとに書く

点検表がうまくいかない一番の原因は、ここが抜けていることです。「異音の有無」だけでは、人によって○の意味が変わります。 | 点検項目 | 判定基準(こうなら○) | |---|---| | 油面の高さ | 窓の上下の線の間にある | | 非常停止ボタンの機能 | 押すと3秒以内に停止する | | エアフィルターのドレン | 水が溜まっていない | | 異音の有無 | いつもと違う音や振動がない | いつもと違う、という書き方でも、基準がないよりはるかにましです。新しく入った人には、先輩といっしょに1週間回って「いつもの音」を覚えてもらう。判定基準の考え方は、作業標準書の書き方とほぼ同じです。

月の表の作り方

日常点検表は、1設備につき1か月1枚が扱いやすい形です。縦に点検項目、横に日付を並べます。 | 欄 | 書くこと | |---|---| | 設備名・設置場所 | 型式や号機まで。同型が複数ある工場では特に | | 月 | 2029年9月、のように | | 管理責任者 | 表を管理する人 | | 根拠 | 法令で決まっている場合は条文番号 | | 点検項目・判定基準 | 5〜8項目。判定基準を項目の下に小さく | | 日付ごとのマス | ○・×・△ | | 点検者 | 日ごとに氏名 | | 記号の意味 | 表の下に必ず書く | 記号は、○が異常なし、×が異常あり、△が要観察、の3つで足ります。記号の種類より大事なのは、×が付いた日に別の欄で処置まで追えることです。 休日のマスは、空欄のままにせず「稼働しない日」とわかるようにしておきます。そうしないと、記入漏れなのか休みなのかが、月末に見分けられません。

異常と処置は、別の表に残す

○×の表の中に異常の内容を書き込もうとすると、マスが小さくて書けず、結局「×」だけが残ります。異常は別の表に切り出します。 | No | 発見日 | 点検項目 | 異常の内容 | 処置 | 処置者 | 処置完了日 | 状態 | |---|---|---|---|---|---|---|---| | 1 | 9/11 | 金型及びボルスターの状態 | 上型の取付ボルト1本にゆるみ | 増し締めし、他のボルトも確認 | 中村 | 9/11 | 処置済み | | 2 | 9/18 | 異音の有無 | 起動時に金属音 | メーカーに連絡、部品手配中 | 山本 | — | 対応中 | 見本のデータです。ここで効いてくるのは「状態」の欄です。対応中のまま月をまたいだものが残っていれば、月次の会議で拾える。処置完了日が空欄の行だけを見れば、いま何が宙に浮いているかがわかります。 同じ事象が三月続けて出ているなら、点検で拾う段階はもう過ぎています。原因をつぶす番です。なぜなぜ分析に送って、QC工程表の管理項目を見直すほうが早い。点検表は異常を見つける入口で、直すのは別の工程だと割り切ったほうが、表が長生きします。 設備の日常点検表のアプリでは、この異常と処置の表が○×の表の下にくっついていて、×を付けた項目をそのまま選べます。翌月の表は、同じ点検項目のまま日付だけ入れ替えて作れます。月ごとに印刷もできます。

定期自主検査の期限は、点検表と同じ場所に置く

年に一度の自主検査は、年に一度しか思い出しません。だから期限の管理は、毎日見るものと同じ場所に置くのが確実です。 | 検査の名前 | 周期 | 前回実施日 | 次回期限 | 実施者 | |---|---|---|---|---| | 年次定期自主検査(特定自主検査) | 1年 | 2029/03/15 | 2030/03/14 | 検査業者 | | 月例定期自主検査 | 1か月 | 2029/08/28 | 2029/09/27 | 保全 山本 | 見本です。次回期限が近づいたら、月の点検表の上に出る。それだけのことですが、紙の点検表とカレンダーが別々だと、この「それだけのこと」が起きません。 のような仕組みを入れる前に、まずここが埋まっているかを見たほうがいい。振動や電流を測る前に、期限切れの検査がないこと、×の処置が残っていないこと。順番としては、そちらが先です。

よくある失敗

項目を増やしすぎる。 安全のために、と項目を足していくと、20項目の表ができあがります。毎朝20項目を本当に見る人はいません。5〜8項目に絞って、全部が実際に見られている表のほうが、実態を映します。 点検者の欄がない。 誰が点検したかが残らないと、判断の食い違いが起きたときに聞けません。氏名は日ごとに書きます。 判定基準を口伝えにしている。 「ベテランが見ればわかる」で回している設備は、そのベテランが異動した月に止まります。判定基準は表に書く。 ×が付いた日に、処置の欄が空のまま月が変わる。 これがいちばん多い。月末に、処置完了日が空欄の行だけを見る時間を5分取るだけで防げます。 5S点検と設備点検を同じ表に混ぜる。 見るものも周期も違うので、表を分けたほうが両方続きます。

生成AIで下書きを作ってみた

この記事を書くのに使った生成AI(Claude)に、見本データで点検表の下書きを作らせました。実際にやりとりしたのは、次の内容です。 > 労働安全衛生規則 第百三十六条の項目を使って、動力プレスの日常点検表の項目と判定基準の案を出して。判定基準は、点検する人が現場で一目で判断できる書き方で。 返ってきたのが、こうした形のものでした。 | 点検項目(第百三十六条) | 判定基準の案 | |---|---| | クラッチ及びブレーキの機能 | 空運転で確実に作動・停止する | | ボルトのゆるみの有無 | ゆるみが無い | | 一行程一停止機構、急停止機構及び非常停止装置の機能 | 非常停止ボタンで停止する | | スライド又は刃物による危険を防止するための機構の機能 | 光線を遮るとスライドが止まる | | 金型及びボルスターの状態 | 割れ・ゆるみ・異物が無い | アプリの見本データに入っている判定基準と、ほぼ同じ内容になりました。点検項目のほうは条文そのままなので、ここは確認作業です。使えるのは右側の列で、現場で言い直すときのたたき台になります。ただし、判定基準が自社の設備に合っているかは、生成AIには判断できません。光線式の安全装置が付いていない機械にこの基準を書けば、そのまま嘘になります。下書きは下書きとして、最後は設備を見ている人が直す。 この程度のやりとりで書式の下書きが作れるなら、点検表そのものを社内で作れたほうが早い。製造業向けの Claude Code 研修では、作業標準書、不具合報告書、QC工程表、設備の日常点検表といった、工場で毎日出てくる書類を題材にしています。扱うのは工場の実務文書だけで、一般的なAIの使い方は出てきません。図面などの機密情報をどこまで入れてよいかの線引きも、最初の回で決めます。製造業でのAIの使いどころは製造業のAI活用にもまとめました。 なお、exbk.jp の製造業アプリは で作りました。の材料を集める書式ほど、現場の言葉に合っているかどうかで使われ方が変わります。

まとめ

- 点検項目は、法令で決まっている設備は条文をそのまま写す。決まりのない設備は、止まると困る順に5〜8項目 - 項目ごとに判定基準を一行で書く。○の意味がそろわない表は、集計しても意味が読めない - 異常は○×の表とは別に、内容・処置・処置者・完了日・状態の欄で残す。空欄の行が宙に浮いている案件 - 定期自主検査の記録は、フォークリフト、動力プレス、クレーン、有機溶剤の局所排気装置について、規則で三年間の保存が定められている - 次回期限は、毎日見る点検表と同じ場所に置く 点検表の形は、設備を見ている人がいちばんよく知っています。その人が自分で書式を直せるようになる道筋として、製造業向けの Claude Code 研修を用意しています。