欄答える問い書くことの見本
1. 発生状況(事実)何が起きたのか発生日時、品目、ロット、工程、対象数、不良数、見つけた工程、現物の状態
2. 処置・暫定対策不良品は外に出ていないか選別、手直し、廃却、全数検査の追加、客先への連絡
3. 原因なぜ起きたのか、なぜ見逃したのか発生の原因と、流出(見逃し)の原因
4. 恒久対策同じ原因でまた起きないか対策の内容、担当、期限、完了日
5. 効果の確認対策は効いたのか確認する日、確認の方法と結果、報告書を閉じた日
呼び方主に書くこと書くタイミング
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不具合報告書(発生報告)事実と処置、暫定対策見つけた当日から数日のうち
是正処置報告書(対策書)原因、恒久対策、効果の確認原因を調べ終えてから
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発生状況の欄:事実だけを、数と場所で書く

発生状況の欄には、見たことと数えたことだけを書きます。「作業者の不注意と思われる」のような推測は、この欄には書きません。原因の欄に回します。

書く項目

| 項目 | 見本 | 抜けると困ること | |---|---|---| | 発生日・時刻 | 9月11日 10:20 | 前後に流れた品物の範囲が決められない | | 品目・ロット | カバー B-200、ロット L0911-1 | 選別の対象が決められない | | 発生した工程 | プレス曲げ | 原因を調べる場所がわからない | | 見つけた工程 | プレス曲げ(自工程) | 検査で止められたのか、後工程で見つかったのかがわからない | | 対象数・不良数 | 200個中6個 | 不良の割合がわからず、影響の大きさが伝わらない | | 現物の状態 | 曲げ部の外側に打痕 | 読む人が不具合の姿を思い浮かべられない | 「発生した工程」と「見つけた工程」を分けて書くのが大事な点です。自工程で見つけたのか、出荷検査で見つけたのか、客先で見つかったのかで、あとで書く流出の原因がまったく変わります。

よくない書き方と書き直し

| よくない例 | 書き直した例 | 直したところ | |---|---|---| | 打痕不良が多発。 | 9月11日 10:20、プレス曲げ工程でカバー B-200(ロット L0911-1)200個中6個に、曲げ部外側の打痕を確認した。 | 「多発」を数に置き換え、日時とロットを入れた | | 作業者の確認不足により寸法不良が発生。 | 穴位置の寸法が図面の公差を外れた品物を12個確認した。 | 原因の推測を外し、事実だけにした | | 客先より異物混入のクレーム。 | 9月5日、客先の受入検査で、納入品1箱の中に切粉の付いた品物2個が見つかったと連絡があった。 | いつ、どこで、何個、どんな状態かを書いた | 写真があれば、欄の下に貼るか、番号を付けて別紙にします。「写真1」のように本文から呼べるようにしておくと、読む人が迷いません。

処置・暫定対策の欄:流出を止めたことを書く

暫定対策は、原因がわかる前に、不良品を客先へ流さないためにその場で取った処置です。この欄を読んだ人が「もう外には出ていない」と判断できるかどうかが目安です。

書く項目

- 不良品をどうしたか(手直し、廃却、特別採用の申請など) - 同じロットや前後のロットをどこまで調べたか(選別の範囲と結果) - 検査を一時的に増やしたか(全数検査の追加など) - 客先や後工程に、いつ誰が連絡したか 見本で書くと次のようになります。 > 処置:打痕のあった6個を研磨で手直しし、外観を確認した。 > 暫定対策:同ロットの残り194個と、前ロット L0910-3 の200個を全数目視で選別し、打痕なしを確認した。原因の対策が終わるまで、プレス曲げ後の外観を全数検査とする。 「選別した」だけでなく、何個を調べて何個が良かったかまで書くと、読む人は流出の範囲を自分で確かめられます。

暫定対策を恒久対策の欄に書かない

よくある失敗が、「全数検査を追加した」を恒久対策として書いてしまうことです。検査を増やすと不良品は止まりますが、不良そのものはつくられ続けます。検査の追加は暫定対策の欄に書き、恒久対策の欄には、不良をつくらない側の対策を書きます。

原因の欄:発生の原因と、流出の原因を分ける

原因の欄は、2つに分けて書きます。 | 分け方 | 答える問い | 見本 | |---|---|---| | 発生の原因 | なぜ不良ができたのか | 金型の清掃が段取り替えのときだけで、作業中の清掃を決めていなかった。落ちた切粉を挟んだまま曲げていた | | 流出の原因 | なぜ見逃したのか(後工程や客先で見つかった場合) | 外観検査の基準に打痕の見本がなく、小さい打痕を良品と判断していた | 自工程で見つけて止められた場合は、流出の原因は「なし(自工程で検出)」と書けば足ります。後工程や客先で見つかったのに流出の原因が空欄だと、読む人は「検査のほうは何も変えないのか」と感じます。

原因は「人」で止めない

「作業者の不注意」「確認不足」で原因の欄を終えると、対策は「注意する」「教育する」しか出てきません。そこからもう一段、なぜ不注意でも作れてしまったのか、なぜ確認しなくても次の工程へ進めたのかを問います。 この掘り下げには、なぜを繰り返して原因をたどる「なぜなぜ分析」が使えます。やり方はなぜなぜ分析のやり方にまとめました。不具合報告書のアプリも、原因の欄の下から、その不具合の「なぜなぜ分析」を始められるようになっています。

恒久対策の欄:担当と期限を付け、仕組みで止める

報告書の中で、客先がいちばん厳しく読むのがこの欄です。対策の中身に加えて、誰がいつまでにやるのか、実際にいつ終わったのかを書きます。

書く項目

| 項目 | 見本 | |---|---| | 対策の内容 | 2時間ごとの金型清掃を作業標準書に追加し、清掃チェック欄を日常点検表に設けた | | 担当 | 製造 山本 | | 期限 | 9月14日 | | 完了日 | 9月13日 | | 状態 | 完了 | 対策が複数ある場合は、1行に1つずつ書き、それぞれに担当と期限を付けます。「関係者で検討する」のように担当が決まらない書き方は避けます。

よくない対策と書き直し

| よくない例 | 書き直した例 | 直したところ | |---|---|---| | 作業者に注意喚起した。 | 作業標準書の曲げ工程に「2時間ごとに金型の上面を清掃する」を追加し、全作業者に読み合わせを行った(9月13日)。 | 注意を、作業標準書の変更に置き換えた | | 確認を徹底する。 | 穴あけ治具に位置決めピンを追加し、向きを逆にすると置けないようにした。 | 人の確認に頼らず、間違えられない形にした | | 検査を強化する。 | 外観検査の基準書に打痕の限度見本(ここまでは良品、ここからは不良という見本品)を追加した。 | 何をどう強化したかを具体にした | 2つめの例のように、間違えた作業ができない形にする工夫をと呼びます。人の注意に頼る対策より、再発しない理由が読む人に伝わりやすくなります。 恒久対策で書き換えることが多いのが、作業の手順をまとめた作業標準書と、工程ごとの管理の決まりをまとめたQC工程表です。書き方は作業標準書の作り方とQC工程表の書き方で説明しています。報告書の恒久対策の欄には、どの書類のどこを何版に変えたかまで書いておくと、あとで追いかけられます。

効果の確認の欄:確認する日と見るものを先に決める

効果の確認は、報告書の中で最も後回しにされやすい欄です。対策が終わった時点で「完了」として閉じてしまい、同じ不具合が半年後にまた起きる、というのがよくある流れです。 防ぐには、恒久対策を決めるときに、次の2つを一緒に書いておきます。 1. 確認する日(例:対策完了から1週間後の9月20日) 2. 何を見れば効いたと言えるか(例:その間に生産した同品目のロットで、打痕の不良がゼロ) 確認の日が来たら、結果を書き、報告書の状態を「完了」にします。効果が出ていなければ、原因の欄に戻って考え直します。 不具合報告書のアプリでは、報告書ごとに「対策中」「効果確認待ち」「完了」の状態が一覧に出ます。効果の確認日を過ぎたのに閉じていない報告書が一目でわかるので、月に一度、一覧を見て閉じ忘れを拾う使い方ができます。
不具合報告書アプリの画面上部。見本の報告書が選ばれている(表示は見本データ)
不具合報告書アプリの画面上部。見本の報告書が選ばれている(表示は見本データ)
*画面の報告書番号、品目、数字はすべて見本データです。* 報告書の欄を自社の決まりに合わせて変えたいときや、点検表や日報とつなげたいときは、品質担当が自分で業務のアプリを作れるようになる 製造業向けの Claude Code 研修があります。作業標準書や不具合報告書、なぜなぜ分析などのアプリを、講師と一緒に作りながら学ぶ内容です。

客先に出す前に見直す7つの点

報告書を客先に出す前に、次の7つを見直します。1つでも「いいえ」があれば、出す前に直します。 | No | 見直す点 | |---|---| | 1 | 発生状況に、日時、品目、ロット、対象数、不良数が入っているか | | 2 | 発生状況に、推測や言い訳が混じっていないか | | 3 | 選別した範囲と結果が数で書いてあるか | | 4 | 客先や後工程で見つかった場合、流出の原因が書いてあるか | | 5 | 原因が「不注意」「確認不足」で止まっていないか | | 6 | 恒久対策のすべてに、担当と期限と完了日があるか | | 7 | 効果の確認日と、何を見るかが決まっているか | 言葉づかいでは、「〜と思われる」「〜の可能性がある」が事実の欄に入っていないかも見ます。調べ終わっていないことは、「調査中(9月18日までに報告)」のように、いつまでにわかるかを書くほうが、読む人は安心します。

生成AIで下書きを作るときの注意

ばらばらのメモから報告書の下書きを作るのは、生成AIの得意な仕事です。ただし、事実の欄は必ず人が現物と記録で確かめます。AIはメモにない数字を補ってしまうことがあるからです。 この記事を書くのに使った生成AI(Claude)に、見本データのメモ(「9/11 10時すぎ B-200 曲げで打痕6個 200個中 切粉かんでた 手直し済み」)を渡し、5つの欄に分けた下書きを作らせた結果が次のとおりです。 > 発生状況:9月11日 10時過ぎ、プレス曲げ工程で B-200 の200個中6個に打痕を確認した。 > 処置:打痕のあった6個を手直しした。 > 原因:曲げのときに切粉を挟んでいた。 > 恒久対策:(メモに記載がないため空欄。担当者が記入) > 効果の確認:(空欄) 欄分けは使えますが、原因は「なぜ切粉を挟んだのか」まで下りていませんし、暫定対策の選別の範囲も入っていません。下書きの後の、原因の掘り下げと対策の中身は、現場を知っている人が書く部分です。 社外の生成AIに入れる前には、客先名や図面番号など、社外に出してはいけない情報が含まれていないかを、社内の決まりに沿って確かめてください。生成AIの工場での使いどころは、製造業のAI活用でも紹介しています。

まとめ

- 不具合報告書は、発生状況、処置と暫定対策、原因、恒久対策、効果の確認の5つの欄に分け、1件ずつ最後まで埋めて閉じる - 発生状況には事実だけを数で書き、推測は原因の欄に回す - 暫定対策は流出を止める処置、恒久対策は同じ原因で二度と起きない仕組み。検査の追加を恒久対策の欄に書かない - 恒久対策には担当と期限と完了日を付け、「注意する」「教育する」は作業標準書や治具の変更に置き換える - 効果の確認は、確認する日と見るものを対策と一緒に決めておく まずは不具合報告書のアプリを見本のデータのまま開き、自社の書式と欄を比べてみてください。報告書や点検表を、品質担当や現場の人が自分でアプリにできるようになりたいときは、製造業向けの Claude Code 研修の内容もご覧ください。不具合報告書のアプリも、 で作っています。