「この方の認定、いつまででしたっけ」。相談員やケアマネジャーが月に何度も口にする質問です。答えられないまま満了日を過ぎると、利用者にも事業所にも面倒が降りかかります。

この記事では、要介護認定の有効期間が何か月なのかを介護保険法施行規則の条文で確かめたうえで、更新申請を出せる時期、間に合わなかったときの扱い、そして事業所で期限切れを防ぐ管理のやり方までをまとめます。数字はすべてe-Gov法令検索で条文を開いて確かめたものです。例に出す利用者名や日付は見本で、実在の方ではありません。

先に結論:新規は原則6か月、更新は原則12か月

有効期間の月数は、介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)に書かれています。要介護認定は第38条、要支援認定は第52条、更新の場合の読み替えは第41条第2項と第55条第2項です。表にすると次のようになります。

認定の種類原則の期間市町村が特に必要と認めた場合の範囲
新規の認定(要介護・要支援)6か月間3か月間から12か月間(6か月間を除く)
更新の認定12か月間3か月間から36か月間
更新の認定(更新の前後で区分が同じ)12か月間3か月間から48か月間

範囲を変えられるのは、市町村が介護認定審査会の意見に基づいて特に必要と認めた場合です。事業所の側から「長くしてほしい」と申し出て決まるものではありません。

更新の申請を出せる時期も規則で決まっています。第39条には「要介護更新認定の申請は、当該要介護認定の要介護認定有効期間の満了の日の六十日前から当該要介護認定有効期間の満了の日までの間において行うものとする」とあります。要支援更新認定も第53条に同じ書き方です。

つまり、事業所が持っておくべき情報は2つだけです。利用者ごとの満了日と、その60日前の日。この2つが一覧で見えていれば、更新の取りこぼしはほぼ防げます。

それを紙のファイルと個人の記憶で回しているなら、exbk.jp の利用者台帳(無料・登録なしで使える)を一度開いてみてください。利用者ごとに要介護度と認定の有効期間を入れておくと、一覧の右端に「あと◯日」の札が出ます。終了まで60日以下になると黄色、終了後は赤に変わります。

利用者台帳の画面。見本データの利用者一覧に、認定の有効期間と残り日数の札が並んでいる
利用者台帳の画面。見本データの利用者一覧に、認定の有効期間と残り日数の札が並んでいる

こういう表は、市販のソフトを待たなくても職員の手で作れます。介護の現場向けに、日本語で指示を出してアプリを作るClaude Code 研修も行っています。

有効期間は「認定日からちょうど6か月」ではない

ここが一番よく誤解される部分です。規則第38条第1項は、有効期間を次の2つを足した期間と定めています。

一 要介護認定が効力を生じた日から当該日が属する月の末日までの期間
二 六月間(市町村が認定審査会の意見に基づき特に必要と認める場合にあっては、三月間から十二月間までの範囲内で月を単位として市町村が定める期間(六月間を除く。))

見本で考えます。認定の効力が2029年4月15日に生じたとすると、まず4月15日から4月30日までが第一号の期間。そこに6か月間を足すので、満了日は10月31日になります。つまり月の途中から始まった認定は、6か月より少し長くなります。

効力が生じた日が月の初日だった場合は、第2項の定めで第一号の期間を足しません。4月1日に効力が生じたなら、満了日は9月30日です。

更新の場合は起算点が違います。介護保険法第28条第10項の読み替えで、更新認定の期間は「有効期間の満了日の翌日から」数えます。前の認定が10月31日に切れるなら、更新認定は11月1日から始まり、原則12か月なら翌年の10月31日までです。手続きが遅れても期間が後ろへずれるわけではない、という点は押さえておいてください。

なお、認定の効力がいつ生じるかは、申請日にさかのぼる扱いを含め市町村の決定通知に書かれています。事業所で計算し直すより、通知に書かれた開始日と満了日をそのまま台帳に写すのが安全です。

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更新申請は満了日の60日前から。早すぎても遅すぎても困る

規則第39条と第53条が定めるのは「60日前から満了日まで」という窓です。ここには2つの落とし穴があります。

早すぎる場合。「余裕をもって3か月前に出しておこう」は、規則の書き方から外れます。窓が開くのを待つ必要があります。

遅すぎる場合。介護保険法第28条第3項は、災害その他やむを得ない理由で満了前に申請できなかったときに限り、その理由がやんだ日から1か月以内は更新申請ができるとしています。そしてこの申請による更新認定は、第9項により満了日の翌日にさかのぼって効力が生じます。裏を返すと、単なる出し忘れがこの救済に当たるかどうかは市町村の判断です。気づいた時点ですぐ保険者に連絡してください。

実務では、次の3つの日付を1つの流れとして扱うと迷いません。

日付すること
満了日の60日前本人・家族へ更新の意向を確認し、申請書の準備を始める
満了日の30日前申請が出ているかを確認する。主治医意見書の依頼先も押さえる
満了日申請の窓が閉じる。未提出なら保険者へ相談

60日前に動き出す理由は、認定調査と主治医意見書に時間がかかるためです。申請してから認定が下りるまでの期間は市町村や時期によって差があります。実際に何日かかっているかは、自分の事業所の過去の決定通知を並べてみるのが一番早い確かめ方です。

区分変更の申請を出したときの扱い

状態が変わって区分変更の認定を申請することがあります。この申請が満了日の近くに重なったときの扱いも、規則に書かれています。

規則第42条第4項は、満了日の60日前から満了日までの間に区分変更の申請が行われ、審査の結果、市町村が区分の変更を必要ないと認めたときは、その申請を更新申請とみなして更新認定を行う、としています。要支援の側も第55条の2第4項に同じ定めがあります。

似た定めがもう1つあります。要支援認定を受けている方が満了日の60日前から満了日までの間に要介護認定の申請を出し、結果として要支援と判定されたときは、その申請を要支援更新認定の申請とみなす(規則第35条第5項)。逆に要介護から要支援へ申請した場合の扱いは第49条第5項にあります。

ここで注意したいのは、みなすかどうかを決めるのは市町村だという点です。更新の時期が迫っているのに区分変更だけを出して、結果として更新の窓を逃す、という事故は避けたいところです。時期が重なりそうなら、申請の前に保険者へ一本確認を入れてください。

区分変更の認定そのものの有効期間が何か月になるかは、今回開いた条文と厚生労働省のページからは読み取れませんでした。決定通知に書かれた期間を確認してください。

期限切れを防ぐ管理は、表を1つにするところから

ここからは事業所側の話です。更新の取りこぼしは、担当者の注意力ではなく仕組みで防ぎます。

満了日を書く場所を1か所に決める

よくあるのは、満了日がケアプランの控え、フェイスシート、事務所のホワイトボード、担当者の手帳に分かれて書かれている状態です。どれかが更新されず、どれが正しいのか誰も言えなくなります。まず「満了日はここを見る」という場所を1つ決めてください。決めるだけで、更新漏れの半分は視界に入ります。利用者の基本情報をどこにまとめるかはフェイスシートの書き方でも扱っています。

残り日数が自動で出る形にする

満了日だけ並んでいても、今日から何日かは頭で引き算することになります。人はそこで間違えます。残り日数が自動で出て、期限が近い人が目立つ表にしておくと、朝礼で一目見るだけで済みます。

誰がいつ見るかを決める

「気づいた人が言う」は運用されません。月初の会議で一覧を見る、毎週月曜に相談員が確認する、といった具合に、見る人と頻度を決めてください。

転記をやめる

台帳、ケアプラン、請求のデータに同じ満了日を何度も打ち込むほど、ずれが生まれます。1か所に入れたものを他から参照できる形にしておくと、打ち間違いが減ります。

exbk.jp の利用者台帳は、このうち上の3つを1つの画面でまかなう作りにしてあります。認定の有効期間(開始)と(終了)を入れると、残り日数の札が一覧と入力欄の両方に出ます。終了まで60日以下で黄色、終了後は「◯日前に終了」と赤で表示します。ここに登録した利用者は、や事故報告書、送迎表の画面からも選べます。登録せずに使っている間は、入力した内容はその端末のブラウザの中にだけ保存され、サーバーには送られません。共用のパソコンで使ったら、書き出してからデータを消してください。

なお、この台帳は日々の記録や請求のシステムとつながるものではありません。事業所ですでにを使っているなら、そちらの満了日を正本にして、この台帳は確認用と割り切るほうが混乱しません。

よくある失敗

現場の相談でよく聞く失敗を並べます。どれも仕組みで防げるものです。

失敗何が起きるか防ぎ方
満了日を「◯月頃」で覚えている60日前に気づけず、窓が狭くなる日付で書く。月ではなく日まで
新規と更新の月数を混同する「1年あるはず」と思い込み、6か月で切れる決定通知の満了日をそのまま写す
更新の意向確認が遅れる入院や家族の都合で申請が止まる60日前に本人・家族へ連絡する
区分変更を出したから更新は不要と考えるみなされず、更新の窓を逃す時期が重なるときは保険者へ確認
担当者だけが期限を把握している異動や休みで引き継がれない一覧を全員が見られる場所に置く

いちばん多いのは最後です。詳しい職員が1人いる事業所ほど、その人が抜けたときに止まります。

見本データで、家族への連絡文を下書きさせてみた

この記事を書くのに使った生成AI()に、見本の利用者データを渡して、更新の意向を確認する家族向けの連絡文を下書きさせました。渡したのは「見本 ウメ様・要介護3・認定の有効期間の終了は2029年10月31日」という3つの情報だけです。出てきたのが次の文章です。

いつもお世話になっております。見本ウメ様の要介護認定は、2029年10月31日で有効期間が満了します。引き続き介護保険のサービスをご利用いただくには、更新の申請が必要です。申請は満了日の60日前から受け付けられますので、9月上旬をめどに手続きを進めたいと考えております。ご意向をお聞かせいただけますでしょうか。ご不明な点があればご連絡ください。

日付の計算と定型の言い回しは任せられます。一方で、この文にはその方の状況が何も入っていません。入院中なのか、家族が遠方なのか、前回の更新で何が起きたのか。そこは職員が足す部分です。下書きを出させて、現場の事情を書き足す。今のところ、その分担が現実的だと思います。生成AIを介護の仕事のどこに使えるかは介護現場でのAI活用にまとめました。

なお、実在の利用者の氏名や状態を生成AIのサービスに入力するかどうかは、事業所の個人情報の取り扱いの決まりに従ってください。見本データで試す分には問題ありません。

事業所ごとの事情は、事業所で形にする

ここまで書いた管理の型は、どの事業所でも同じ形で使えるものではありません。通所と訪問では見るタイミングが違いますし、施設なら入所前の確認に組み込むほうが早い。ケアプランの更新月と並べて見たい事業所もあります。

そういう細かい違いを、市販のソフトの追加開発で埋めようとすると時間もお金もかかります。日本語で指示を出してアプリを作れるようになると、この種の表は職員自身の手で作れます。介護事業所向けのClaude Code研修では、介護記録や事故報告書、送迎表、勤務シフト表といった実際の担当業務をそのまま題材にして、全10時間のZoomライブでアプリを作ります。対象は介護職員、生活相談員、介護支援専門員、事務員など、こうした書類の作成を担当している職員です。一般論は扱いません。第1回で個人情報の扱いの決まりづくりも行います。

記録の書き方そのものを見直したい場合は介護記録の書き方、サービス提供の記録の残し方はサービス提供記録の書き方を合わせて読んでみてください。

まとめ

  • 要介護・要支援認定の有効期間は、新規が原則6か月間、更新が原則12か月間。市町村が特に必要と認めれば、新規は3か月から12か月、更新は3か月から36か月、更新前後で区分が同じ場合は48か月までの範囲で決まる(介護保険法施行規則第38条、第41条第2項、第52条、第55条第2項)
  • 新規の期間は「効力が生じた日からその月の末日まで」を足すため、月の途中に始まった認定は6か月より長くなる。更新の期間は満了日の翌日から数える
  • 更新申請ができるのは満了日の60日前から満了日までの間(同規則第39条、第53条)。早すぎる提出も窓の外になる
  • 満了前に申請できなかった場合、災害その他やむを得ない理由があるときに限り、理由がやんだ日から1か月以内に申請できる(介護保険法第28条第3項)
  • 事業所側は、満了日を書く場所を1か所に決め、残り日数が自動で見える形にし、誰がいつ見るかを決める。これで取りこぼしはかなり減る

まずは利用者台帳に、今の利用者の満了日を写すところから始めてみてください。表の形を自分の事業所に合わせて作り直したくなったら、Claude Code 研修でその作り方を扱っています。