決めること具体的には
段階の言葉0〜4の各段階を「手順書を見ながら一人でできる」のように、見て判断できる言葉で書く
一人で任せられる線と必要人数レベル3以上を「任せられる人」とし、作業ごとに何人いれば回るかを決める
育成計画人数が足りない作業から、誰を・いつまでに・どう育てるかを期限つきで書く
作業者 / 作業切断プレス曲げ溶接最終検査段取り替え
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Aさん(班長)44334
Bさん33213
Cさん32032
Dさん(入社1年目)10000
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スキルマップが必要になる場面

製造現場でスキルマップが話題になるのは、たいてい次の3つの場面です。 | 場面 | 困りごと | スキルマップで見えること | |---|---|---| | ベテランの退職・異動 | その人しかできない作業が残る | 「レベル3以上が1人だけ」の作業 | | 欠勤・繁忙期の応援 | 誰を回せるか、その場で決められない | 作業ごとの代わりに入れる人 | | 新人・異動者の受け入れ | 何から教えるかが人によってばらばら | 次に覚える作業と目標レベル | どれも「誰が何をどこまでできるか」が見えれば、判断が早くなります。 公的な物差しとしては、厚生労働省が「職業能力評価基準」を公開しています。仕事に必要な知識や技術・技能、成果につながる行動の例を業種別・職種別に整理したもので、ものづくりからサービス業まで幅広い業種が対象です。職業能力評価シートやキャリアマップといった道具もあわせて公開されています。自社の段階の言葉を決めるとき、同じ業種の評価基準を読むと、どんな知識や行動を見ればよいかの参考になります。

レベル(段階)の決め方:0〜4の見本

スキルマップでいちばん揉めるのが、段階の付け方です。「3って何ができたら3なの?」の答えが人によって違うと、表の数字は信用されません。 そこで、段階ごとに見て判断できる言葉を決めておきます。見本として、0〜4の5段階を示します。 | レベル | 状態 | 判断の目安(見本) | |---|---|---| | 0 | 未経験 | まだ教わっていない | | 1 | 教わりながらできる | 指導者が横についていればできる | | 2 | 手順書を見ながら一人でできる | 手順書があれば一人でできるが、時間がかかる・迷う場面がある | | 3 | 標準の時間で確実にできる | 一人で任せられる。標準時間内で、不良を出さずにできる | | 4 | 人に教えられる | 手順の理由まで説明でき、新人に教えられる | この見本では、レベル3を「一人で任せられる」線にしています。配置や育成に使うときは、この線を超えている人の数を数えます。 段階を決めるときのコツは次のとおりです。 - 「上手」「だいたいできる」のような感じ方の言葉を避け、手順書・時間・不良・教えられるか、のように見て確かめられる言葉にする - 作業によって条件が違う場合(検査なら「見逃しなく判定できる」など)は、作業ごとに目安を1行足す - 本人の自己評価と、班長や指導者の見立ての両方を聞き、ずれた作業は話し合って決める 作業手順書が整っていないと、レベル2と3の区別があいまいになります。手順書づくりとスキルマップは、セットで進めると楽です。

作り方の手順:5ステップ

1. 対象の職場・班を決める

工場全体を1枚にすると、作業が多すぎて読めません。まずは班やラインの単位で1枚作ります。

2. 作業を洗い出す

横軸に並べる作業を決めます。細かすぎても粗すぎても使いにくくなります。目安は「人を配置するときの単位」です。 | 粗すぎる例 | ちょうどよい例 | 細かすぎる例 | |---|---|---| | 加工 | 切断、プレス曲げ、穴あけ | プレス曲げの金型をボルトで固定する | | 品質 | 最終検査、測定器の点検 | ノギスで外径を測る | 段取り替えや設備の日常点検のように、製品を作る作業以外で「できる人が限られる」ものも忘れずに入れます。

3. 作業ごとに必要人数を決める

作業ごとに「一人で任せられる人(レベル3以上)が最低何人いれば回るか」を決めます。シフトの数、休みの取りやすさ、作業の頻度から考えます。毎日どのシフトでも行う作業なら多め、月に1回の作業なら少なめ、という決め方で構いません。

4. レベルを記入する

作業者ごとに、前の章の段階の言葉で記入します。班長が一人で全部付けるより、本人と話しながら付けたほうが、本人の「次はこれを覚えたい」も聞けます。

5. 足りない作業を数える

作業ごとにレベル3以上の人数を数え、必要人数と比べます。 | 作業 | レベル3以上 | 必要人数 | 判定 | |---|---|---|---| | 切断 | 3人 | 3人 | 足りている | | 溶接 | 1人 | 2人 | あと1人 | | 最終検査 | 2人 | 2人 | 足りている | | 段取り替え | 2人 | 3人 | あと1人 | ※ 見本データ。 「あと1人」の作業が、育成計画で最初に手をつける作業です。表の右端に作業者ごとの「レベル3以上の作業の数」も数えておくと、多能工化の進み具合も見えます。

表計算ソフトとアプリ、どちらで作るか

ここまでの表は、紙でも表計算ソフトでも作れます。表計算ソフトなら、レベルに条件付き書式で色を付け、COUNTIF でレベル3以上の人数を数えれば、見本と同じ表になります。 ただ、次のような手直しを毎回していると、更新が止まりがちです。 - 作業者や作業を足すたびに、数える式の範囲を直す - 必要人数に足りない作業を、自分で探して色を付ける - 育成計画を別のシートで管理し、表と突き合わせる スキルマップのアプリは、この流れをそのまま画面にしたものです。
スキルマップのアプリの画面。作業者と作業の表に0〜4のレベルが色分けされ、下に「人が足りない作業」が表示されている(見本データ)
スキルマップのアプリの画面。作業者と作業の表に0〜4のレベルが色分けされ、下に「人が足りない作業」が表示されている(見本データ)
※ 画面の職場名・作業者名・数字はすべて見本データです。 マスを押すたびにレベルが0から4へ変わり、作業ごとに「レベル3以上の人数 / 必要人数」が表の下に出ます。足りない作業は「溶接(あと1人)」のように一覧になります。作業者を選ぶと、その人の力量と育成計画(今のレベル・目標・期限・育て方・達成日)を管理できます。CSV(表計算ソフトで開ける形式)での書き出しと印刷もできます。 入力したデータは、使っている端末のブラウザに保存されます。最初は見本データが入っているので、操作を試してから白紙に切り替えて使えます。ほかの製造業向けの書式は製造業アプリの一覧にあります。 このアプリは で作りました。段階の言葉や並べる作業は職場ごとに違い、それをいちばん知っているのは現場の人です。社員が自分の業務のアプリを作れるようになる Claude Code 研修も、製造業向けに行っています。

多能工化と育成計画への使い方

作って眺めるだけでは、スキルマップは役に立ちません。足りない作業から、育成計画に落とします。

誰を育てるかの決め方

「あと1人」の作業では、すでにレベル2の人を先に育てるのが近道です。レベル0から3に上げるより、2から3に上げるほうが期間が短くて済むからです。 見本の表なら、溶接は「Bさん(レベル2)」、段取り替えは「Cさん(レベル2)」が候補です。

育成計画の書き方

育成計画は、次の項目を1行ずつ書きます。 | 作業者 | 作業 | 今のレベル | 目標 | 期限 | 育て方 | 達成日 | |---|---|---|---|---|---|---| | Bさん | 溶接 | 2 | 3 | 11月末 | Aさんの横で週2回、手順書どおりに実施 | | | Cさん | 段取り替え | 2 | 3 | 12月末 | 月曜の段取り替えを担当、Aさんが確認 | | | Dさん | 切断 | 1 | 2 | 10月末 | 手順書の読み合わせ後、Bさんが付いて実施 | | ※ 見本データ。 書くときに外せないのは次の点です。 - 期限を必ず入れる。期限のない計画は、忙しい月に後回しになります - 育て方を具体的に書く。「OJTで」だけでは、誰がいつ教えるのかがわかりません。(仕事をしながら教える方法)なら、誰が付いて、週に何回かまで書きます - 達成したら表のレベルも更新する。計画と表がずれると、どちらも信用されなくなります

教える人を決める

レベル4(人に教えられる)の人が少ない作業では、教える人の負担が偏ります。レベル3の人を4に上げることも育成計画に入れておくと、次の新人を受け入れやすくなります。

改善活動とつなげる

「この作業はレベル2から3に上がりにくい」と分かったら、人ではなく手順や治具に問題があるのかもしれません。そうした作業は、活動の題材になります。原因をたどるときは、なぜなぜ分析のやり方で紹介した手順が使えます。

よくある失敗と直し方

| よくある失敗 | 起きること | 直し方 | |---|---|---| | 段階の言葉を決めずに付ける | 付ける人で数字がばらつく | 段階ごとの判断の目安を表の上に書いておく | | 作業を細かくしすぎる | 表が大きすぎて誰も見ない | 人を配置する単位にまとめる | | 作って終わり | 数か月で実態とずれる | 更新日を書き、育成計画の期限ごとに見直す | | 人事評価に直結させる | 本人も班長も数字を甘く付けがち | 配置と育成のための表だと最初に伝える | | 必要人数を決めない | どこが足りないのか判断できない | 作業ごとに「レベル3以上が何人いれば回るか」を決める | 人事評価とのつなげ方は、特に慎重に決めたいところです。スキルマップの数字がそのまま給与に響くと、正直な数字が集まりにくくなります。つなげる場合も、評価のルールを別に決め、社員に説明してからにします。

ISO 9001 の力量との関係

(品質マネジメントの国際規格)の認証を受けている工場では、力量に関する記録を求められる場面があります。スキルマップは、その記録の一つとして使われることが多い表です。 ただし、規格の本文は有料で、この記事では原文を確かめていません。どんな記録が必要か、スキルマップの形式で足りるかは、規格本文と審査を受ける機関の見解で確かめてください。 力量表や育成計画の書式は、段階の言葉も並べる作業も職場ごとに違います。自分たちの書式を現場の社員が自分でアプリにできるように、製造業向けの研修を用意しています。

まとめ

- まず1つの班を選び、作業を「人を配置する単位」で並べる - 0〜4の段階を、見て判断できる言葉で決める - 作業ごとに必要人数を決め、レベル3以上の人数と比べる - 足りない作業から、誰を・いつまでに・どう育てるかを期限つきで書く - 期限が来たら、表と育成計画を一緒に更新する