就労継続支援や生活介護などの事業所で、毎日の支援記録を書いている支援員の方に向けた記事です。支援記録は様子(事実)・支援の内容・所見の3つに欄を分け、あいまいな言葉を「何を見たか」に書き直すだけで、ずっと読みやすくなります。例文はすべて書き方の見本で、実在の事業所や利用者の話ではありません。

先に結論:3つの欄に分けて、あいまいな言葉を残さない

支援記録を読むのは、書いた本人より、次の日の担当者、サービス管理責任者、相談支援専門員、家族のほうが多いはずです。その人たちはその場にいなかったので、記録の文字だけで場面を思い浮かべます。

欄書くこと書かないこと
様子(見たこと・聞いたこと)時刻、場所、回数、量、本人の言葉職員の推測、評価の言葉
支援の内容職員が実際にしたこと、声かけの言葉「見守った」だけで終わる書き方
所見(職員の考え・次の対応)様子から考えたこと、次に見ること本人の意向の決めつけ

この3つの欄をそのまま画面にしたのが、exbk.jp の支援記録のアプリ(無料・登録なしで使える)です。利用者、時間、活動・場面を選び、様子・支援の内容・所見を分けて入れる作りになっています。

書式を整えても、事業所ごとに書きたい項目は少しずつ違います。自分の事業所の記録用紙に合わせて、職員が自分でアプリを作れるようになる障害福祉の Claude Code 研修もあります。まずは書き方の型から見ていきます。

支援記録は誰が、何のために読むのか

書き方で迷ったら、読む人を思い浮かべると決めやすくなります。

読む人記録から知りたいこと
次の日の担当の支援員昨日何があり、今日は何に気をつければよいか
サービス管理責任者個別支援計画の目標に対して、どんな様子だったか
相談支援専門員・家族事業所でどう過ごしているか
監査などで確かめる人計画に沿った支援をしていたか

個別支援計画の見直しでは、日々の支援記録がそのまま材料になります。モニタリングのときに「最近どうだったか」を思い出しで書かずに済むのは、記録に時刻と具体的な様子が残っているときだけです。計画の書き方は個別支援計画の書き方にまとめています。

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様子・支援の内容・所見を書き分けるコツ

様子の欄は、カメラに映ることだけ

様子の欄には、ビデオカメラで撮ったら映るもの、録音したら残るものだけを書きます。「集中していた」は映りません。映るのは「10:00から11:20まで、休まずに袋詰めを続けた」のほうです。

時刻と回数は、忘れやすいのに、あとでいちばん役に立ちます。「何度も席を立った」より「午前中に4回席を立ち、窓のほうへ歩いた」のほうが、翌週と比べられます。

本人の言葉は「」でそのまま

「作業を嫌がった」と書くと、職員の受け取り方になります。「『今日はシール貼りはしない』と話した」と書けば、何を嫌がったのかまで伝わります。言い換えず、聞いたとおりに「」に入れます。

言葉で話さない方の場合は、示したことを書きます。「作業の写真カードのうち、箱折りを指さした」「声をかけると首を横に振った」のように、動きとして書けば事実の欄に置けます。

支援の内容は、職員の動作と言葉で

「見守り」「声かけ」だけでは、何をしたのかがわかりません。「隣に座り、手順表の3番を指さして『次はここです』と伝えた」まで書くと、別の職員が同じ支援を再現できます。

所見は、推測だとわかる書き方で

所見は職員の考えを書く欄なので、推測を書いてかまいません。ただし「〜と思われる」「〜の可能性がある」と書き、断定しないようにします。最後に「次に何を見るか」を1つ入れると、記録が引き継ぎになります。

様子:11:20、袋詰めの途中で手が止まり、休憩カードを机に置いた。「つかれた」と話した。
支援の内容:5分間の休憩を一緒に計り、再開の時刻を伝えた。11:30に作業に戻った。
所見:連休明けで疲れが出ている可能性がある。午後の作業量は様子を見て調整し、明日も午前の休憩の回数を見る。

本人の意向は推測で書かない

支援記録でいちばん気をつけたいのがここです。「本当は一般就労を望んでいる」「家に帰りたいのだと思う」のような文は、書いた職員の善意から出てきます。けれど、それが本人の意向として記録に残ると、次の担当者も、計画を作る人も、本人が言ったことだと受け取ります。

書き分けは次のとおりです。

場面書いてよいこと書かないこと
本人が話した「パン屋で働きたい」と話した一般就労を強く望んでいる
本人が示した写真カードの中から散歩を選んだ外出が好きだ
職員が感じた所見欄に「表情から疲れている可能性がある」様子欄に「疲れている」
家族から聞いた母から「家では早く寝ている」と電話で聞いた家では早く寝ている

誰から聞いたかを添えるだけで、事実の出どころがはっきりします。家族の話と本人の話が食い違うこともあるので、出どころは省かないほうが安全です。

場面別の例文:あいまいな例と書き直した例

ここからは場面ごとに、ありがちな書き方と書き直した例を並べます。名前・時刻・数字はすべて見本です。

作業中

あいまいな例書き直した例直したところ
作業に意欲的に取り組んだ。10:00〜11:20、休まずに袋詰めを続け、120袋を仕上げた。「あと少しでお昼」と話した。「意欲的」を時間と量と言葉に置き換えた
集中が続かない。午前中に4回席を立ち、窓のほうへ歩いた。声をかけると、その都度1〜2分で席に戻った。回数と、戻るまでの様子を書いた
こだわりが強く、手順を変えられない。箱を折る前に、机の上の道具を毎回同じ順に並べ直した。並べ終えるまで約3分。途中で声をかけると「まだ」と答えた。「こだわり」を見た動作と時間に直した

休憩・昼食

あいまいな例書き直した例直したところ
食欲なし。12:10、昼食。ご飯を半分、おかずを3口食べた。「おなかすいてない」と話した。量と本人の言葉を書いた
休憩中、一人で過ごした。12:40〜13:00、休憩室の窓ぎわの席で、雑誌を見て過ごした。ほかの利用者から話しかけられると、うなずいて答えた。どこで何をしていたかを書いた

送迎

あいまいな例書き直した例直したところ
送迎時、機嫌が悪かった。8:45、迎えの車に乗る際、「今日は行きたくない」と話し、乗るまでに約10分かかった。車内では窓の外を見て過ごした。「機嫌」を言葉とかかった時間に置き換えた
帰りの送迎、特変なし。16:10、送りの車で自宅着。玄関で母に引き渡した。車内で「明日も来る」と話した。何を確かめて変わりなしとしたかを書いた

体調の訴え

あいまいな例書き直した例直したところ
体調不良の訴えあり。様子見。13:30、「頭がいたい」と話した。額に手を当てていた。体温36.8℃。14:00に再度聞くと「少しいい」と答えた。サービス管理責任者に報告し、帰りに家族へ伝えることにした。本人の言葉、測った値、誰に報告したかを書いた

体調について、病名や原因を記録で決めつける必要はありません。本人の言葉と、測った値と、誰に報告したかを残せば、あとで看護師や家族が判断できます。

利用者同士のトラブル

あいまいな例書き直した例直したところ
Aさんとトラブルあり。14:15、作業台で、隣の利用者に「どいて」と大きな声で言った。職員が間に入り、席を1つ離した。14:25には作業に戻った。言葉と、職員の対応と、その後を書いた
パニックになった。15:00、作業場のブザーが鳴った直後に耳をふさいでしゃがみ、声をあげた。職員が静かな相談室へ案内し、15:10に「もうだいじょうぶ」と話した。「パニック」を、きっかけと動作と戻るまでの時間に直した

利用者同士のことを書くときは、相手の利用者の名前を別の利用者の記録に書かない事業所が多いはずです。どう書くかは、事業所の個人情報の取扱いの決まりに合わせてください。

言い換えたい言葉の一覧

表の「あいまいな例」に出てきた言葉は、どれも書いた職員の頭の中にある場面を指しています。読む人には場面が届きません。

言葉置き換える方向
落ち着かない、不穏何回、どこへ、どう動いたか
意欲的、頑張っていた何分続けたか、どれだけ仕上げたか
こだわりどんな動作を、何回、何分
パニックきっかけ、動作、声、戻るまでの時間
拒否本人の言葉、何度声をかけたか、代わりにしたこと
特変なし、様子見何を見て変わりなしとしたか、次に何を見るか
指導した、させた職員が実際に言ったこと、手渡したもの

「させた」「指導した」は、職員が上に立つ書き方に読めることがあります。「伝えた」「一緒に確かめた」と、行ったことをそのまま書くほうが、支援の中身も伝わります。

いつもと同じ日の書き方

毎日、全員分を長く書く必要はありません。いつもと同じ日は短くてかまいません。ただ、「特変なし」の4文字では、何を確かめたかが残りません。

様子:9:30〜15:00、いつもの席で箱折り。昼食は全部食べた。帰りに「また明日」と話した。
支援の内容:午前と午後に手順表の確認を一緒にした。
所見:いつもと変わりない。

これで2〜3行です。いつもと違うことがあった日は、時刻と本人の言葉と対応を厚めに書きます。記録の厚さに差があるほうが、読む人はどの日に何があったかを見つけやすくなります。

書いたあとに見直す5つの問い

  1. 様子の欄に、時刻・回数・量のどれかが入っているか
  2. 本人の言葉は「」でそのまま残したか
  3. 推測は、所見の欄に「〜と思われる」で書いたか
  4. 本人の意向を、職員の推測で書いていないか
  5. 次の担当者が何を見ればよいか、所見に書いたか

記録の書式をアプリにすると何が変わるか

支援記録のアプリの画面。利用者・時間・活動と場面を選び、様子(見たこと・聞いたこと)、支援の内容、所見(職員の考え・次の対応)を分けて入力する。表示は架空の事業所と利用者の見本データ
支援記録のアプリの画面。利用者・時間・活動と場面を選び、様子(見たこと・聞いたこと)、支援の内容、所見(職員の考え・次の対応)を分けて入力する。表示は架空の事業所と利用者の見本データ

紙の記録用紙でも3つの欄は作れます。アプリにして変わるのは、主に探す手間です。exbk.jp の支援記録のアプリでは、利用者を選ぶと、その人の記録を日付順に見返せます。モニタリングの前に1か月分を読み返すとき、ファイルをめくる必要がありません。日ごとの印刷と、表計算ソフトで開ける形式での書き出しもできます。

ログインしていない間、入力したデータは使っている端末のブラウザの中にだけ保存されます。事業所のパソコンと現場のタブレットで同じ記録を見たい場合は、無料のアカウント登録で共有できます。別の端末で使うときや、ブラウザのデータを消す前は、バックアップを書き出しておいてください。利用者の個人情報を扱う記録なので、どの端末で使うかは事業所の に沿った決まりに合わせて決めてください。

このアプリは という、文章で指示するとアプリを作ってくれる道具で作りました。欄の名前や並びは、事業所によって変えたいところだと思います。「所見の欄を、職員の考えと次の対応に分けたい」「送迎の欄も同じ画面に入れたい」といった直しは、使う人が指示を書けば作り直せます。

障害福祉の Claude Code 研修では、生活支援員や職業指導員、サービス管理責任者の方が、全5回で支援記録や個別支援計画、モニタリング記録、工賃計算のアプリを自分で作ります。第1回は、個人情報を扱う現場での使い方の手順から始まります。

AI に記録の下書きを手伝わせる話は、障害福祉のAI活用は書類からに書きました。記録の保存期間や、利用の事実を残すサービス提供記録のほうは、サービス提供記録の書き方で条文を確かめてまとめています。

まとめ

  • 支援記録は、様子(事実)・支援の内容・所見の3つの欄に分けて書く
  • 様子の欄には、時刻・回数・量と、本人の言葉を「」でそのまま書く
  • 「落ち着かない」「意欲的」「こだわり」「パニック」は、何を見たかに置き換える
  • 本人の意向は、本人が話したこと・示したことだけを書き、推測は所見の欄に分ける
  • いつもと同じ日は短く、いつもと違う日は厚く書く

記録の書式を自分の事業所に合った形にしたいと思ったら、職員が自分でアプリを作れるようになる障害福祉の Claude Code 研修の中身をのぞいてみてください。