建設現場で産業廃棄物の搬出を受け持つと、「この管理票は誰の名前で出すのか」「戻ってこない写しはいつまで待てばいいのか」で手が止まることがあります。この記事は、その答えを廃棄物処理法と施行規則の条文で確かめ、現場の搬出記録と突き合わせて管理するところまでをまとめたものです。

条文は e-Gov法令検索で開いて確かめました。表や例に出てくる工事名・台数・番号は説明用の見本で、実在の工事や会社の話ではありません。

先に結論:誰が、いつ、何を、いつまでに

マニフェストは、元請業者が、廃棄物を渡すその場で、種類ごと・運搬先ごとに交付する伝票です。押さえる決まりは次の表のとおりです。

決まり中身条文
交付する人排出事業者。建設工事では原則として元請業者法第12条の3、第21条の3
交付の時期と単位引渡しと同時に、種類ごと・運搬先ごと法第12条の3第1項、施行規則第8条の20
写しの保存交付した写しも、戻ってきた写しも5年施行規則第8条の21の2、第8条の26
写しが戻る期限運搬・処分の終了は交付日から90日(特別管理産業廃棄物は60日)、最終処分の終了は180日施行規則第8条の28
戻らないとき状況を確かめて措置をとり、30日以内に都道府県知事へ報告法第12条の3第8項、施行規則第8条の29
年1回の報告紙で交付した分を、毎年6月30日までに報告施行規則第8条の27

現場でやることは、ダンプの搬出を毎日1行ずつ控え、月に一度マニフェストの控えと照らし合わせることです。交付漏れや戻り待ちに、早いうちに気づけます。

毎日の控えには、exbk.jp の残土・産廃の搬出記録アプリが使えます。無料で、登録なしで使えます。日付・種類・台数・運搬先・マニフェスト番号を1行ずつ入れる形です。ほかの現場書類のアプリは建設現場アプリの一覧にあります。

マニフェストは何のための書類か

正式な名前は「産業廃棄物管理票」です。産業廃棄物の運搬や処分を業者に任せたとき、その廃棄物が最後まで正しく処理されたかを、出した側が自分で確かめるための伝票です。

廃棄物処理法第12条の3第1項は、産業廃棄物を出す事業者が運搬や処分を他人に委託するときは、「産業廃棄物の引渡しと同時に」運搬を受けた業者に管理票を交付しなければならない、と定めています。管理票には、廃棄物の種類と数量、運搬や処分を受けた業者の名前などを書きます。

写しは次の順で動きます。

順番誰がすること
1排出事業者(建設工事では原則として元請業者)引渡しのときに管理票を交付し、写しを手元に残す
2運搬業者運搬が終わったら終了日などを書き、写しを排出事業者に送る。処分業者に管理票を回す
3処分業者処分が終わったら、写しを排出事業者に送る
4処分業者(中間処理のあと最終処分がある場合)最終処分が終わった知らせを受けたら、その旨を書いた写しを排出事業者に送る
5排出事業者戻ってきた写しで処理の終了を確かめ、保存する。年に一度、交付状況を報告する

処理が1段進むたびに、写しが1枚ずつ元請の手元に戻ってきます。全部そろえば、最後まで処理されたと確かめられます。

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建設工事では元請業者の名前で出す

現場でまず迷うのは、誰の名前で出すかです。

廃棄物処理法第21条の3第1項は、建設工事が何次もの請負で行われる場合、その工事で出る廃棄物については、注文者から直接工事を請け負った元請業者を事業者とすると定めています。下請の職人さんが実際に解体して出したがれきでも、法律上の排出事業者は原則として元請業者です。マニフェストも元請業者の名前で交付します。

例外もあります。同じ条の第3項・第4項では、書面の請負契約に定めて下請負人が自ら運搬する一部の場合などに、下請負人を事業者とみなす扱いが置かれています。自社の工事が当たるかどうかは、条文と、現場の所在地を受け持つ自治体の窓口で確かめてください。

交付するときの確かめ方

種類ごと・運搬先ごとに1枚

交付のしかたは、施行規則第8条の20に書かれています。現場で引っかかりやすいのは次の3点です。

決まり現場での意味
産業廃棄物の種類ごとに交付するコンクリート塊とアスファルト・コンクリート塊を同じダンプで出しても、種類が違えば管理票は別
運搬先が2つ以上なら運搬先ごとに交付する同じ日に2か所の処理施設へ出すなら、施設ごとに分ける
種類・数量・受託者の名前が管理票と相違ないか確かめてから交付する石綿(アスベスト)を含むものなどは、その旨も種類の欄に書く

管理票に書く項目

書く項目は施行規則第8条の21に並んでいます。主なものは次のとおりです。

主な記載事項例(見本)
交付年月日・交付番号見本:2029年9月17日、番号 S-2029-0917-01
排出事業者の名前・住所元請業者の名前と住所
廃棄物を出した事業場の名前と所在地工事名と現場の住所
交付を担当した人の名前現場の担当者
運搬・処分を受ける業者の住所、運搬先の事業場の名前と所在地処理施設の名前と住所
産業廃棄物の種類・数量・荷姿見本:コンクリート塊、7t、ばら積み
最終処分を行う場所の所在地委託契約書に書かれた最終処分場

種類と数量と運搬先は、現場で毎日つけている搬出記録と重なります。この重なりが、後半の突き合わせで効いてきます。

保存は5年、写しが戻る期限は90日と180日

写しの保存は5年

誰が保存するもの期間条文
排出事業者交付した管理票の写し交付した日から5年施行規則第8条の21の2
排出事業者運搬・処分業者から送られてきた写し送付を受けた日から5年施行規則第8条の26
運搬業者管理票(写し)送付の日などから5年施行規則第8条の30

交付した写しと戻ってきた写しでは、5年を数え始める日が違います。1つの工事で数十枚になることもあるので、交付番号ごとにまとめておくと探しやすくなります。

業者が写しを送る期限は10日

運搬業者は運搬を終えた日から10日以内(施行規則第8条の23)、処分業者は処分を終えた日から10日以内(第8条の25)に、排出事業者へ写しを送ります。最終処分の終了を書いた写しも10日以内です(第8条の25の3)。

元請が「戻ってこない」と判断する期限

排出事業者の側で見るのは、次の期限です(施行規則第8条の28)。

戻ってくる写し期限
運搬・処分が終わったことを示す写し管理票の交付の日から90日(特別管理産業廃棄物は60日)
最終処分が終わったことを示す写し管理票の交付の日から180日

特別管理産業廃棄物は、爆発性・毒性・感染性など、人の健康や生活環境に被害を生じるおそれのある性状を持つとして政令で定められた産業廃棄物です(法第2条第5項)。

戻らないときは30日以内に報告

期限までに写しが戻らないときや、必要なことが書かれていない写し、うその記載のある写しが届いたときは、排出事業者は委託した廃棄物の状況を確かめ、適切な措置をとります(法第12条の3第8項)。

そのうえで、施行規則第8条の29により都道府県知事へ報告書を出します。写しが戻らない場合は「期間が経過した日から30日以内」、記載が足りない写しが届いた場合は「送付を受けた日から30日以内」です。

現場の言葉にすると、交付した日から数えて90日目と180日目に、写しがそろっているかを見る必要があります。担当者の記憶だけに頼ると、工事が終わって現場を離れたあとに見落としやすくなります。

毎年6月30日までの交付状況の報告

紙のマニフェストを交付した排出事業者は、年に一度、交付状況を報告します(法第12条の3第7項、施行規則第8条の27)。

項目内容
単位産業廃棄物を出す事業場ごと。同じ都道府県(政令市・中核市では市)の中に、短期間だけの現場や所在地が定まらない現場が2つ以上ある場合は、まとめて1つの事業場とする
対象期間その年の3月31日以前の1年間に交付した管理票
期限毎年6月30日まで
提出先事業場の所在地を管轄する都道府県知事(政令市・中核市は市)

建設工事は現場ごとに場所が変わるので、上の「まとめて1つの事業場とする」扱いが関わります。様式や提出方法は自治体ごとに案内があるので、提出先のページで確かめてください。

報告書には、種類ごとの数量や、運搬・処分を受けた業者ごとの交付枚数などをまとめます。1年分の控えを6月に数え直すのは骨が折れます。日々の搬出記録を種類別・運搬先別に集計しておけば、報告の下書きはその合計を写すだけで済みます。

電子マニフェストで変わること

電子マニフェストは、紙の管理票の代わりに、インターネットでつながった「情報処理センター」に内容を登録する方法です。廃棄物処理法第12条の5に定められています。

紙との違い

排出事業者が運搬・処分業者に電子で終了報告をするよう求め、決められた期間内に情報処理センターへ登録すれば、紙の管理票は交付しなくてよいことになっています(法第12条の5第1項・第2項)。

比べる点紙のマニフェスト電子マニフェスト
交付・登録の時期引渡しと同時に交付引き渡した後、3日以内(休日等を除く)に登録(施行規則第8条の31の6)
業者からの終了の知らせ写しを10日以内に郵送など運搬・処分を終えた日から3日以内(休日等を除く)にセンターへ報告(施行規則第8条の34)
保存排出事業者が写しを5年保存情報処理センターが情報を5年保存(施行規則第8条の35)
年1回の報告排出事業者が6月30日までに報告書を出す情報処理センターが都道府県知事に報告する(施行規則第8条の36)

ここでいう休日等は、土日、祝日、1月2日・3日、12月29日〜31日です。

電子で使うには、運搬業者と処分業者も情報処理センターにつながっている必要があります(法第12条の5第1項のかっこ書き)。取引先が対応しているかを先に確かめてください。

使用が義務になる事業者

義務になるのは、前々年度に特別管理産業廃棄物(政令で定める一部を除く)を50トン以上出した事業場を持つ事業者で、その特別管理産業廃棄物の処理を委託する場合です(施行規則第8条の31の2、第8条の31の3)。

それ以外の会社は任意です。保存と年1回の報告を情報処理センターが受け持つので、交付枚数が多い会社ほど手間の差が大きくなります。

搬出記録とマニフェストを月1回突き合わせる

ここからは現場の管理の話です。マニフェストで確かめたいのは、出した分だけ交付されているかと、交付した分がすべて戻っているかの2つです。そのために、マニフェストとは別に、毎日の搬出記録をつけておきます。

搬出記録につける5つの項目

ダンプが出るたびに1行ずつつけます。マニフェストと照らし合わせるだけなら、次の項目で足ります。

項目理由
搬出した日交付年月日と照らし合わせる
種類マニフェストは種類ごとに交付するため
車両・台数・1台あたりの量数量の根拠になる
運搬先マニフェストは運搬先ごとに交付するため
マニフェストの交付番号1行ごとに、どの管理票で出したかを結びつける

産業廃棄物の行で交付番号の欄が空いていれば、そこが交付漏れの候補です。

アプリでつける場合

冒頭で紹介した残土・産廃の搬出記録アプリは、この5項目の並びで記録をつけられます。日付・種類・車両・台数・1台あたりの量・運搬先・マニフェスト番号を入れると、台数と1台あたりの量から数量を計算し、月ごとに種類別・運搬先別の合計を出します。表示中の月の記録は、表計算ソフトで開けるCSVファイルに書き出せます。

残土・産廃の搬出記録アプリの画面。見本データとして、架空の道路改良工事の搬出5件と、種類別・運搬先別の合計が表示されている
残土・産廃の搬出記録アプリの画面。見本データとして、架空の道路改良工事の搬出5件と、種類別・運搬先別の合計が表示されている

画面の工事名・車両・番号は、アプリにあらかじめ入っている見本データです。このアプリは現場での集計用で、マニフェストの交付や保存そのものは、許可を受けた業者との手続きとして別に行ってください。

このアプリは という、日本語で指示すると画面を組み立ててくれるAIの道具で作りました。照合表の列や集計の単位は、会社や元請の決まりで少しずつ変わります。その違いに合わせて社員が自分でアプリを作れるようになる建設業向けの Claude Code 研修も行っています。

月末の3つの照合

月末に、搬出記録とマニフェストの控えを並べて、次の3つを見ます。

照合見るところ気づけること
1. 交付漏れ産業廃棄物の行に、交付番号が入っているか交付せずに引き渡した可能性
2. 種類・運搬先・数量搬出記録の種類別・運搬先別の合計と、マニフェストの記載種類の書き間違い、運搬先の分け忘れ、数量の食い違い
3. 戻り待ち交付番号ごとに、写しが戻った日90日(特別管理は60日)・180日の期限が近いもの

照合の書き方の見本です。数字はすべて見本です。

見本:2029年9月分 コンクリート塊 搬出記録 2台・7t/交付番号 S-2029-0917-02 数量 7t 一致
見本:アスファルト・コンクリート塊 搬出記録 3台・9.6t/交付番号 S-2029-0917-01 数量 9.6t 一致
見本:運搬・処分終了の写し S-2029-0917-01 は10月2日に受領、S-2029-0917-02 は未着。交付日から90日目は12月16日

戻り待ちの一覧

3つ目の照合用に、交付番号ごとに次の列を持つ一覧を作っておきます。

交付番号(見本)交付日種類運搬・処分終了の写し90日目最終処分終了の写し180日目
S-2029-0917-012029/9/17アスファルト・コンクリート塊10/2 受領12/16未着2030/3/16
S-2029-0917-022029/9/17コンクリート塊未着12/16未着2030/3/16

期限の日付は、交付日の翌日から数えた見本の計算です。数え方で迷うときは所管の自治体に確かめてください。90日目と180日目の列を交付した日に埋めておけば、月の照合で「期限が近いのに未着」の行がすぐ目に入ります。

残土は照合から外す

搬出記録には、工事で出る土(残土)も一緒につけることが多いと思います。残土がマニフェストの対象になるかどうかは、この記事では扱いません。照合では産業廃棄物の行だけを見て、残土の扱いは発注者や所管の自治体の指示に従ってください。

よくある見落とし

制度の決まりと現場の動きがずれやすいところです。

見落とし何が起きるか防ぎ方
1台のダンプに2種類を積んだのに管理票が1枚種類ごとの交付になっていない搬出記録を種類ごとに1行ずつつける
同じ日に2か所へ運んだのに管理票が1枚運搬先ごとの交付になっていない搬出記録に運搬先を必ず書く
戻ってきた写しを工事書類と一緒に綴じる90日・180日の確認ができない戻り待ちの一覧に受領日を書いてから綴じる
工事が終わって担当者が異動180日目の確認をする人がいない一覧を会社で共有し、引き継ぎの項目にする
年1回の報告の直前に1年分を数え直す手間がかかり、数え間違いも起きる搬出記録を月ごとに種類別・運搬先別に集計しておく

AIに制度のことを聞くと、もっともらしい数字が返ってくることがあります。 などで調べたときも、期限や保存期間は条文か自治体の案内で確かめてください。

まとめ

  • マニフェストは、処理を委託する排出事業者が、引渡しと同時に、種類ごと・運搬先ごとに交付する。建設工事では原則として元請業者
  • 交付した写しと戻ってきた写しを、それぞれ5年保存する
  • 運搬・処分終了の写しは交付日から90日(特別管理産業廃棄物は60日)、最終処分終了は180日。戻らなければ30日以内に報告
  • 紙で交付した分は、毎年6月30日までに交付状況を報告する。電子マニフェストなら情報処理センターが報告する
  • 現場では搬出記録(日・種類・台数・運搬先・交付番号)を毎日つけ、月に一度マニフェストの控えと照らし合わせる

照合表や戻り待ちの一覧は、会社ごとに列が少しずつ違います。現場の担当者が自分の使いやすい形でアプリにできれば、紙の一覧を作り直す手間がなくなります。その作り方は建設業向けの Claude Code 研修で身につけられます。