| ルール | 決めること | 設定で固定できるもの |
|---|---|---|
| 1. 任せる操作の範囲 | AIが確認なしでやってよい操作、確認を挟む操作、禁止する操作 | 禁止・確認・許可のルール、確認を飛ばすモードの禁止 |
| 2. 扱ってよいデータ | 読ませてよいデータ、読ませないデータ、パソコンに残る記録の扱い | 読ませないファイルの指定、記録を残す日数 |
| 3. 費用の上限 | 月の上限額、使った量を見る人と頻度 | 追加の利用分の上限額(組織・グループ・社員ごと) |
| 置き場所 | 効く範囲 | 会社での使い方 |
| --- | --- | --- |
| ~/.claude/settings.json | その社員のパソコンのすべての作業 | 社員個人の好み |
| フォルダの .claude/settings.json | そのフォルダで作業する全員 | 部署やプロジェクトで共有する決まり |
| フォルダの .claude/settings.local.json | そのフォルダの自分だけ | 個人の試し |
| 管理者が配る設定(managed settings) | 配った先の全員 | 会社として変えさせない決まり |
{
"permissions": {
"disableBypassPermissionsMode": "disable",
"deny": [
"Bash(curl *)",
"Bash(rm *)",
"Read(./.env)",
"Read(./.env.*)",
"Read(./顧客台帳/**)"
],
"ask": [
"Bash(git push *)"
]
}
}
禁止の欄の1行目と2行目は、外にデータを送るコマンドと、ファイルを消すコマンドの例です。3行目からは、パスワードなどを書いたファイルと、顧客の台帳のフォルダを読ませない指定です。確認の欄は、作業の結果を共有の保管場所に送る前に確認を挟む例です。
設定は鍵ではない
設定で固定できるといっても、万能ではありません。公式ドキュメントには、コマンドの禁止ルールはAIが書いたコマンドの文字列に当てはめるもので、書き方を変えたコマンドまでは止められない場合があると書かれています。上のひな形の Bash(curl *) も、別の書き方で同じことをするコマンドには効かないことがあります。
管理画面から配る設定についても、公式ドキュメントははっきり書いています。この設定は端末の側で効く制御で、セキュリティの境界ではない。会社が管理していないパソコンでは、管理者の権限がなくても回避できる、と。より強く効かせたい場合は、パソコンの管理ツールに登録した端末で配る方法が勧められています。
だから設定は、社員が「うっかり」やってしまうのを防ぐ道具と考えるのが実態に合います。わざと回避する人を止める仕組みではありません。文章の社内ルールで「禁止の設定を外さない」と決め、設定と文章の両方で支えます。
ルール2 扱ってよいデータの線引き
データを3段に分ける
Claude Codeは、作業を始めたフォルダの中身を読みながら動きます。読んだ内容は、指示の文章と一緒にAnthropicのサーバーに送られます。指示とAIの返事は、通信の途中で暗号化して送られるとデータの扱いのページにあります。 そのうえで社内で決めるのは、どのデータなら読ませてよいかです。たとえば次のように3段に分けると、社員が迷ったときに判断しやすくなります。 | 段階 | データの例 | 扱い | |---|---|---| | 読ませてよい | 公開済みの資料、社内の手順書、架空の数字で作った練習用の表 | 作業用のフォルダに置いてよい | | 条件付き | 取引先の名前が入った見積書、売上の数字 | 会社契約のアカウントに限る、作業後にフォルダから外す | | 読ませない | 個人の連絡先の一覧、給与、健康の情報、パスワード | 作業用のフォルダに置かない、設定でも読み取りを禁止する | どの段にどのデータを入れるかは、業種や取引先との契約で変わります。表は考え方のひな形として使ってください。契約の種類で学習の扱いが変わる
条件付きの段で「会社契約のアカウントに限る」と書いたのは、契約によってデータの扱いが違うからです。公式ドキュメントには、Team、Enterprise、APIなどの契約では、Anthropicは送られたコードや指示を学習に使わないと書かれています。個人向けのプランでは、本人の設定しだいで学習に使われます。 保存期間の違いを含めた比較は、法人の料金の記事に表でまとめました。ルール2を決める前に、社員が個人の契約で会社のデータを扱っていないかを一度確認しておくと、線引きの前提がそろいます。読ませないファイルを設定で外す
読ませないデータは、設定でも外しておきます。ルール1のひな形で書いた Read(./顧客台帳/**) のような禁止のルールがそれです。 読み取りの禁止に当てはまるファイルは、ファイルを探す結果から外され、読み取りも書き換えも拒否されると設定のページに書かれています。 ただし、ここにも限りがあります。同じページには、この禁止はClaude Codeのファイルを扱う機能や、名前を指定してファイルを開くコマンドには効くものの、フォルダ全体をまとめて検索するようなコマンドには効かないと書かれています。 設定で外したから置いてよい、という考え方はやめておきます。読ませないデータは、まず作業用のフォルダに置かない。設定は、置いてしまったときの保険です。パソコンに残る記録の扱い
見落としやすいのが、社員のパソコンの側に残る記録です。公式ドキュメントによると、Claude Codeは会話の記録を、あとで続きから再開できるようにパソコンの中に保存します。場所はユーザーのフォルダの .claude/projects/ の下で、暗号化されていない文字のまま、標準で30日間残ります(の考え方でいえば、パソコン側の保存期間です)。 残す日数は cleanupPeriodDays という設定で変えられます。条件付きの段のデータを扱う部署では、日数を短くするかどうかを決めておきます。 もう一つ、不具合の報告の機能にも注意が要ります。/feedback という指示で報告を送ると、会話の記録が一緒に送られ、5年間保存されると公式ドキュメントに書かれています。/bug と /share も同じ経路です。顧客の情報を扱った作業のあとに、社員が気軽に報告を送らないよう、社内ルールに1行入れておくと安心です。個人情報を入れるときの確認
社員が扱うデータに個人情報が含まれる場合は、との関係も考えます。個人情報保護委員会は、2023年6月2日に生成AIサービスの利用に関する注意喚起を出しています。 事業者向けの注意点として、個人情報を含む指示を入力する場合は、その個人情報の利用目的を達成するのに必要な範囲かを十分に確認するよう書かれています。本人の同意なく個人データを入力し、それが返事を作る以外の目的で扱われる場合は、法律の規定に違反する可能性があるとも書かれています。 自社のデータの扱いが問題ないかは、顧問の弁護士など専門家に相談してください。ルール3 費用の上限と見える化
席の利用枠が標準の上限
TeamとEnterpriseの契約では、社員ごとの席に利用枠があります。この枠は5時間ごとと1週間ごとの区切りで回復し、チャットでの利用と同じ枠を分け合うと費用のページに書かれています。 費用の面では、この席の枠が標準の上限です。枠を使い切ると、区切りが回復するまで作業が止まります。追加の利用分をオフにしている間は、請求は席の代金から増えません。追加の利用分に3段の上限をかける
枠を超えても作業を続けさせたい場合は、追加の利用分をオンにします。このとき、上限額を組織全体、グループ、社員一人ごとの3段で決められると公式ドキュメントに書かれています。 社内で決めるのは、次の3点です。 - 追加の利用分をオンにするか - オンにするなら、組織全体の月の上限額 - 社員ごと、または部署ごとの月の上限額 社員が上限に当たると、Claude Codeの画面に上限に達した旨の表示が出ます。上限を上げるのは管理者で、管理画面の使用量の設定から操作します。上限を上げる判断を誰がするか、どの程度の依頼なら上げるかも、あわせて決めておきます。 API料金で使うClaude Consoleの契約の場合は、仕組みが違います。Consoleでは、Claude Codeで初めてログインしたときに「Claude Code」という名前の区画(ワークスペース)が自動で作られ、その区画に上限額をかけて管理すると書かれています。いくらかかるかの目安
公式ドキュメントの費用のページには、企業での利用の平均として、開発者1人あたり、使った日1日で約13ドル、1か月で150〜250ドルという数字が載っています。90%の利用者は、使った日1日あたり30ドル未満に収まっているそうです。 ただしこれは、API料金で使う開発者の平均です。事務や営業の社員が使う場合にそのまま当てはまるとは限りません。同じページでも、少人数で試して基準を作ってから広げるよう勧めています。上限額を決めるときは、最初の1か月は低めに置き、実際の使用量を見てから見直すほうが確かです。使った量を見る人と頻度を決める
上限を決めても、使った量を誰も見ていなければ、見直しのきっかけがつかめません。確認の手段は、費用のページに次のものが載っています。 | 見たいもの | 手段 | 対象の契約 | |---|---|---| | 社員ごと、モデルごとの推定の費用 | 組織の分析画面の費用レポート(CSVで書き出せる、毎日更新) | Team、Enterprise | | 使っている人数、作業の回数 | 分析の画面(claude.ai/analytics) | Team、Enterprise | | 社員ごとの利用と費用をまとめて取得 | Enterprise Analytics API | Enterprise | | 社員自身の利用状況 | Claude Codeで /usage と打つ | 各プラン | 費用レポートは、追加の利用分をオンにしてから表示され、席の枠の中の利用は金額では計算されないと書かれています。 見る人は、経理か社内展開の担当者のどちらかに決めます。頻度は、はじめの3か月は月に1回、社員が増えるときにもう1回、くらいから始めると負担になりません。ルールを支えるアカウントと記録
3つのルールを決めても、社員が個人のアカウントでログインしていたら、会社の設定も上限も届きません。ルールが効く前提として、アカウントと記録の仕組みも確認しておきます。会社のアカウントでしかログインさせない
公式ドキュメントには、ログインの方法と組織を限定する設定が載っています。forceLoginMethod でログインの方法を、forceLoginOrgUUID で会社の組織を指定すると、ほかの組織のclaude.aiアカウントでログインしたときにエラーになります。 注意点も書かれています。管理画面から配る設定は、すでに会社の組織にログインしているアカウントにしか届きません。最初のログインを会社のアカウントに向けるには、パソコンの管理ツールなどで端末側に設定を置く必要があります。 Enterpriseの契約には、会社のアカウントでまとめてログインするシングルサインオン、会社のメールのドメインでの登録の取り込み、役割ごとの権限の管理()、コンプライアンス用のAPIが含まれると、公式の認証のページに書かれています。社員が数十人を超えるなら、Teamで足りるかをこの差で判断します。入社と退職の手順に入れる
アカウントの管理は、入社と退職の手順に組み込むと漏れません。 - 入社や異動のとき:管理画面から招待し、Claude Codeを使える席を割り当てる - 退職や異動のとき:管理画面で席を外す 公式ドキュメントによると、Claude Codeを使える席になっていない社員がログインすると、組織に追加されていない旨の表示が出ます。その場合は管理画面で席の設定を直します。 パソコン側にも残るものがあります。WindowsではユーザーのフォルダのなかのClaude Code用のフォルダにログインの情報が、Macでは暗号化されたキーチェーンに保存されると書かれています。会話の記録も前の節のとおり残ります。パソコンを回収して別の社員に渡す手順に、この2つを消す作業を入れておきます。使い方の記録を残す
誰がいつどれくらい使ったかの記録は、という共通の形式で、会社の集計の仕組みに送れます。送れるのは作業の回数、使った道具、使った量などだそうです。 指示の本文は、標準では記録されません。OTEL_LOG_USER_PROMPTS などの設定を加えたときだけ本文が記録されると書かれています。社員の指示の中身まで記録するかどうかは、業務の監督と社員のプライバシーのかね合いで決めることです。記録するなら、その旨を社員に先に伝えておきます。 管理画面から配った設定の変更については、の出来事として、誰がどの端末でどう変えたかを、コンプライアンス用のAPIや監査ログの書き出しで取れると書かれています。利用にはAnthropicの担当者への問い合わせが必要です。 外部のサービスとClaude Codeをつなぐや、作業の前後に決まった処理を挟む、手順をファイルにまとめるも、管理者が配る設定で使えるものを絞れます。最初は使わせない方針にしておき、必要になった部署から許可する順番でも遅くありません。スキルを社内に配る方法はClaude Code skillsの作り方に書きました。社内ルールのひな形
ここまでの内容を、社員に配る1枚のルールにすると、たとえば次のようになります。架空のひな形なので、項目の数も言い回しも自社に合わせて変えてください。Claude Code 利用ルール(ひな形)
1. 使う人とアカウント
・会社が席を割り当てた社員だけが使う
・会社のアカウントでログインする。個人の契約で会社のデータを扱わない
2. 任せる操作の範囲
・社外への送信、データの削除、公開はAIにやらせない。人が自分で行う
・会社が配った設定の禁止のルールを、自分の判断で外さない
・確認をすべて飛ばすモードは使わない
3. 扱ってよいデータ
・読ませてよい:公開済みの資料、社内の手順書、練習用のデータ
・条件付き:取引先名の入った資料(作業が終わったらフォルダから外す)
・読ませない:個人の連絡先、給与、健康の情報、パスワード
・顧客の情報を扱った作業のあとは /feedback で報告を送らない
4. 費用
・追加の利用分の上限は1人あたり月__円。超えそうなときは__に相談する
・使用量は__が毎月_日に確認する
5. 困ったとき、事故が起きたとき
・作業を止めて、__に連絡する
・ルールの見直しは_か月ごとに__が行う
| プラン | 時間 | 受講料(1人、税別) |
|---|---|---|
| Aプラン | 10時間 | 30万円 |
| Bプラン | 15時間 | 40万円 |
