個別支援計画は、障害福祉サービスの事業所で、利用者ひとりひとりの支援の中身を決める書類です。計画を作るサービス管理責任者(サビ管)と、計画に沿って支援する職員に向けて、何をどう書き、いつ同意をもらい、いつ見直すかをまとめました。
根拠にしたのは、国の「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号、以下「指定基準」)です。e-Gov法令検索で条文を開いて確かめています。目標や支援内容の例文はすべて書き方の見本で、実在の事業所や利用者の話ではありません。
先に結論:書く5項目と、同意・交付・見直しの決まり
計画に書く項目は5つ、作ったあとの手順は説明、文書での同意、交付の3段階です。見直しの間隔はサービスの種類で2通りに分かれます。
| 知りたいこと | 答え | 根拠 |
|---|---|---|
| 誰が作るか | サービス管理責任者が原案を作り、会議で意見を聞いて仕上げる | 第58条 |
| 何を書くか | 本人と家族の意向、総合的な支援の方針、課題、目標と達成時期、留意事項 | 第58条第5項 |
| 同意のもらい方 | 本人または家族に説明し、文書で利用者の同意を得る | 第58条第7項 |
| 誰に渡すか | 利用者と、指定特定相談支援事業者など | 第58条第8項 |
| 見直しの間隔 | 少なくとも6か月に1回以上。自立訓練・就労移行支援・自立生活援助は3か月に1回以上 | 第58条第9項と各サービスの準用規定 |
| 変えるとき | 原案から交付までをもう一度行う | 第58条第11項 |
この並びのとおりに入力できる個別支援計画のアプリを、exbk.jp で無料・登録なしで使えるように公開しています。同意日や見直しの期限をどう表示するかは、記事の後半で画面と一緒に説明します。障害福祉の書類向けのアプリは、障害福祉アプリの一覧にまとめています。
個別支援計画の決まりはどの条文にあるか
指定基準の第58条は、療養介護の計画について、作り方の手順を細かく定めています。ほかのサービスは、この第58条を準用する(同じ決まりを当てはめる)形です。計画の名前はサービスごとに違っても、作り方の骨組みは同じになります。
| サービス | 計画の名前(基準上) | 根拠の条文 |
|---|---|---|
| 療養介護 | 療養介護計画 | 第58条 |
| 生活介護 | 生活介護計画 | 第93条で第58条を準用 |
| 自立訓練(機能訓練) | 自立訓練(機能訓練)計画 | 第162条で準用 |
| 自立訓練(生活訓練) | 自立訓練(生活訓練)計画 | 第171条で準用 |
| 就労移行支援 | 就労移行支援計画 | 第184条で準用 |
| 就労継続支援A型 | 就労継続支援A型計画 | 第197条で準用 |
| 就労継続支援B型 | 就労継続支援B型計画 | 第202条で準用 |
| 就労定着支援 | 就労定着支援計画 | 第206条の12で準用 |
| 自立生活援助 | 自立生活援助計画 | 第206条の20で準用 |
| 共同生活援助(グループホーム) | 共同生活援助計画 | 第213条で準用 |
確かめたのは、この表に挙げたサービスの条文だけです。居宅介護などの訪問系サービスや、障害児のサービスには別の決まりがあるので、この記事では扱いません。
介護保険のケアマネジャーが作るケアプランと似ていますが、別の書類です。介護のほうではのような専用のソフトが広く使われています。障害福祉の個別支援計画は、表計算ソフトや紙の書式で作っている事業所も少なくありません。
作成から交付までの8つの手順
第58条に書かれている順番を、そのまま並べます。
| 順番 | すること | 条文のポイント |
|---|---|---|
| 1 | 担当を決める | 管理者がサービス管理責任者に作成の業務を担当させる |
| 2 | アセスメント | 本人の能力、置かれている環境、日常生活全般の状況などを評価し、希望する生活や課題を把握する |
| 3 | 本人と面接する | アセスメントは利用者に面接して行う。面接の趣旨を十分に説明し、理解を得る |
| 4 | 原案を作る | 意向、総合的な支援の方針、課題、目標と達成時期、留意事項などを書く |
| 5 | 会議で意見を聞く | 利用者と担当者などを集めた会議を開き、原案に意見を求める。テレビ電話などでも開ける |
| 6 | 説明と同意 | 原案を利用者または家族に説明し、文書で利用者の同意を得る |
| 7 | 交付 | 作成した計画を、利用者と指定特定相談支援事業者などに交付する |
| 8 | モニタリングと見直し | 実施状況を把握し、決められた間隔で見直し、必要なら変更する |
アセスメントは、本人の暮らしの様子や困りごと、望んでいることを聞き取って整理する作業です。本人が自分で決めることに難しさを抱えている場合、基準は、本人の思いや好み、判断する力などを丁寧に把握するよう求めています。
5番の会議は、現場では担当者会議や個別支援会議と呼ばれています。会議で出た意見を原案に反映してから、6番の説明に進みます。
順番が前後していないかは、日付を並べれば確かめられます。会議の日、説明の日、同意の日、交付の日をそれぞれ残しておきましょう。
計画の各欄に何をどう書くか
第58条第5項が挙げる項目は、「利用者及びその家族の生活に対する意向」「総合的な支援の方針」「生活全般の質を向上させるための課題」「目標及びその達成時期」「提供する上での留意事項等」です。現場の書式では、次のような欄に分けることが多いです。
| 欄 | 書くこと | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| 本人(家族)の意向 | 本人がどんな暮らしをしたいか | できるだけ本人の言葉のまま残す |
| 総合的な支援の方針 | 事業所として、どう支えるか | 1〜2文で、支援全体の向きを書く |
| 長期目標 | 1年ほど先に目指す姿 | 本人の意向とつながっているか確かめる |
| 短期目標 | 計画の期間内に目指す姿 | 期間内にできたかどうかを確かめられる形で書く |
| 支援内容・本人の役割 | 職員が何をし、本人が何をするか | 誰が、どのくらいの頻度で行うかも書く |
| 達成時期 | 目標をいつまでに目指すか | 年月で書く |
| 留意事項 | 支援で気をつけること | 体調、苦手な環境、連携先など |
本人の意向:言い換えずに残す
「就労意欲あり」と書くより、「毎日通って、自分で稼いだお金で好きな本を買いたい」と書くほうが、本人が何を大切にしているかが伝わります。半年後に見直すとき、目標がこの言葉からずれていないかを確かめられるのも利点です。
家族の意向が本人と違うときは、分けて書きます。ひとつの欄に書くと、あとで誰の希望だったのかがわからなくなります。
目標:確かめられる姿で書く(例文つき)
目標でよく見かけるのが、「作業に慣れる」「生活リズムを整える」のような書き方です。気持ちは伝わりますが、見直しのときに、達成できたかどうかを判断できません。書き直しの見本を並べます。
| よくない例 | 書き直した例 | 直したところ |
|---|---|---|
| 作業に慣れる。 | 袋詰めの作業を、1日300個できる。 | 量で確かめられる形にした |
| 生活リズムを整える。 | 週5日、10時までに事業所に着く。 | 日数と時刻を入れた |
| 体調管理ができる。 | 疲れたときに、自分から休憩を申し出る。 | 本人の行動として書いた |
| 対人関係の改善。 | 困ったときに、担当の職員に声をかけられる。 | 誰に、どんなときに、を書いた |
| 一般就労を目指す。 | 実習先で、週3日・1日4時間の作業を1か月続ける。 | 長期目標への途中の姿を短期目標にした |
数字は見本です。本人のいまの状態から、期間内に届きそうな少し先を置くのが目安になります。高すぎる目標を置くと、見直しのたびに未達成が続き、本人が自信をなくします。
支援内容:誰が・何を・どのくらい
支援内容の欄は、目標ごとに、職員がすることと本人がすることを分けて書くと、読む職員が迷いません。
短期目標:疲れたときに、自分から休憩を申し出る。
支援内容:休憩を申し出るためのカードを机に置き、作業の区切りで職員が声をかける。
本人の役割:疲れを感じたら、カードを職員に見せる。
担当・頻度:生活支援員・毎日。
達成時期:9月。
「見守る」「声かけする」だけでは、職員によってやり方がばらつきます。何を見て、どのタイミングで、どんな言葉をかけるかまで書いておけば、誰が担当しても同じ支援ができます。
留意事項:支援の前提を書く
体調面で気をつけること、苦手な音や場所、服薬の時間、連携している医療機関や相談支援事業所などを書きます。医療的な判断は、計画を書く職員の役目ではありません。主治医や看護師から聞いている注意点を、そのまま記録として残す書き方にします。
説明・同意・交付で押さえること
第58条第7項は、原案の内容を利用者または家族に説明し、「文書により利用者の同意を得なければならない」と定めています。第8項は、作成した計画を「利用者及び指定特定相談支援事業者等に交付しなければならない」としています。
| 項目 | 記録しておくこと | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 説明 | 説明した日、説明した相手 | 家族に説明した場合も、同意は利用者のものとして得る |
| 同意 | 同意日、署名 | 口頭だけで済ませない。署名欄のある書面にする |
| 交付 | 交付日、交付先 | 本人だけでなく、相談支援事業者にも渡す |
相談支援事業者は、障害福祉サービスの利用計画(サービス等利用計画)を作る事業所です。本人がどの事業所で何を目指しているかを相談支援専門員も知っておく必要があるので、交付先に入っています。
モニタリングと見直しの時期:6か月か3か月か
第58条第9項は、計画を作ったあと実施状況を把握し(モニタリング)、「少なくとも六月に一回以上」計画を見直して、必要に応じて変更すると定めています。ただし一部のサービスは、準用するときに「六月」を「三月」に読み替えています。
| 見直しの間隔(少なくとも) | サービス | 根拠 |
|---|---|---|
| 6か月に1回以上 | 療養介護、生活介護、就労継続支援A型・B型、就労定着支援、共同生活援助 | 第58条第9項(各サービスの準用規定で読み替えなし) |
| 3か月に1回以上 | 自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、自立生活援助 | 第162条、第171条、第184条、第206条の20で「六月」を「三月」に読み替え |
モニタリングの進め方について、第58条第10項は、利用者や家族との連絡を続けながら、特段の事情がない限り「定期的に利用者に面接すること」「定期的にモニタリングの結果を記録すること」と定めています。何か月ごとにモニタリングをするかは、条文では決まっていません。事業所で間隔を決めて、計画に書いておくと管理しやすくなります。
期限は日付を並べて管理する
見直しの期限は、日々の支援に追われているとうっかり過ぎてしまいます。計画ごとに次のように日付を並べておけば、期限が近いものがひと目でわかります。
| 項目 | 記入の見本 |
|---|---|
| 計画の作成日 | 3月20日 |
| 計画の期間 | 4月1日〜9月30日 |
| 直近のモニタリング日 | 9月14日 |
| 次のモニタリング予定 | 12月14日(3か月ごとの場合) |
| 見直しの期限 | 9月20日(6か月ごとの場合) |
期限の数え方(作成日から数えるか、期間の開始日から数えるかなど)は、所管の自治体の考え方を確かめておくと安心です。
アプリの画面で、同意日と見直しの期限を確かめる
ここまでの項目の並びで計画を書けるのが、冒頭で紹介した個別支援計画のアプリです。

画面は、アプリにはじめから入っている見本データです。事業所名も利用者名も架空です。この記事を書くときに本番の画面を開いて、次のことを確かめました。
- 利用者ごとに、意向、総合的な支援の方針、長期目標を書く欄がある
- 短期目標ごとに、支援内容・本人の役割、担当・頻度、達成時期、優先順位を並べて書ける
- 担当者会議の開催日、説明日、同意日、交付日を入れる欄があり、同意日と交付日が入っている計画には「同意・交付済み」と表示される
- モニタリングの間隔(月)と直近のモニタリング日から、次のモニタリングの日付と、残りの日数が表示される
- 見直しの期限が、根拠の条文とあわせて表示される(画面の見本では、就労継続支援B型で作成日から6か月)
- 前の計画をもとに見直し版を作れ、印刷して署名欄に使える
上の表で日付を並べた管理を、画面が代わりに計算してくれる形です。期限の表示は入力した日付から計算した目安なので、自治体の取扱いと違う場合はそちらに合わせてください。
よくある失敗と防ぎ方
条文の決まりから外れやすいところを、防ぎ方と一緒にまとめます。
| よくある失敗 | 条文で決まっていること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 同意を口頭で済ませた | 文書で利用者の同意を得る(第7項) | 署名欄のある書面を使い、同意日を残す |
| 本人にだけ渡した | 利用者と相談支援事業者などに交付する(第8項) | 交付先の欄を2つ作っておく |
| 目標を少し変えただけなので同意をもらわなかった | 変更にも原案から交付までの手順を当てはめる(第11項) | 見直し版を作るたびに、会議・説明・同意・交付の日付を埋め直す |
| 会議の前に説明と同意を済ませた | 会議で原案に意見を求め、そのあと説明と同意に進む(第58条の手順) | 会議の日と同意の日を並べて、順番を確かめる |
| 見直しの期限を過ぎた | 6か月または3か月に1回以上見直す(第9項と準用規定) | サービスの種類に合った間隔で、期限を一覧にしておく |
書いたあとに見直す6つの問い
- 本人の意向は、本人の言葉で書いたか
- 長期目標と短期目標は、本人の意向とつながっているか
- 短期目標は、期間内に確かめられる形か
- 支援内容に、誰が・何を・どのくらい、が書いてあるか
- 会議の日、説明の日、同意の日、交付の日は記録したか
- 次の見直しの期限は、サービスの種類に合っているか
自分の事業所の書式を、職員がアプリにする
このアプリは で作りました。やりたいことを文章で伝えると、プログラムを書いて動く形にしてくれる道具です。
どの欄が要るか、どの順番で入力すると書きやすいかは、毎日計画を書いている現場の人がいちばんよく知っています。自治体の取扱いに沿った見直しの管理表や、事業所で使い慣れた書式を、職員が自分でアプリにできるように、障害福祉の現場向けの Claude Code 研修を行っています。
まとめ
- 計画に書くのは、本人と家族の意向、総合的な支援の方針、課題、目標と達成時期、留意事項の5つ(第58条第5項)
- 原案を会議にかけてから説明し、文書で利用者の同意を得て、利用者と相談支援事業者に交付する
- 見直しは少なくとも6か月に1回以上。自立訓練、就労移行支援、自立生活援助は3か月に1回以上
- 目標は、期間内にできたかどうかを確かめられる姿で書く
- 内容を変えたら、原案から交付までをもう一度行う
計画の書式や期限の一覧を、事業所のやり方に沿って作り直したいときは、障害福祉の Claude Code 研修で、職員が自分でアプリにする進め方を紹介しています。
