GEO対策という言葉を、取引先や営業の電話で耳にする機会が増えてきました。自社も何かしたほうがいいのか、するなら何からなのか。この記事は、そう迷っている社員数十人の会社の社長に向けて書きました。

検索の数字を見ると、関心が高まっているのは確かです。ラッコキーワードで調べると、「geo対策」は直近1年の平均で月1,600回検索されています。2025年9月に月1,000回だったものが、2026年8月には月2,900回まで増えました。

ただ、上位の記事は大きな会社のWeb担当者に向けた概論や、有料ツールを何十個も並べた比較が中心です。上位10ページの平均は約1万3,000字ありました。読み終えても、社員30人の会社が明日から何をすればいいのかは、なかなか見えてきません。

この記事は違います。外注先を探す前、ツールを契約する前に、社内の人と時間だけで進められる3つの手順に絞りました。言葉の定義や費用の相場は短くして、別の記事にお任せします。

GEO対策とは何か



一言でいうと



は Generative Engine Optimization の略で、生成エンジン最適化と訳されます。や、Google検索の一番上に出るのように、AIが文章で答える検索があります。その答えの中で、自社の情報が正しく取り上げられ、出典として示されるようにする取り組みがGEO対策です。

似た言葉は深追いしなくていい



LLMO対策、AIO対策など、似た言葉がいくつもあります。どのAIを主に意識しているかで呼び方が違うだけで、目指すところはほぼ同じです。呼び方の違いと、外に頼んだときの費用の目安は、AIO対策の費用をまとめた記事に表で整理しました。

社内で話すときは、名前にこだわらず「お客様がAIに質問したとき、うちの会社が正しく紹介されるようにする」と言い換えてしまって構いません。そのほうが、営業や事務の人にも伝わります。

Googleが公式に書いていること



取りかかる前に、Googleの説明を押さえておきます。2026年9月に、サイト運営者向けの公式解説であるGoogle検索セントラルを確認しました。

まず、AIによる概要やAIモードに表示されるために、特別な最適化は要らないと書かれています。これまでのSEOの基本が、AIの機能にもそのまま当てはまるという説明です。

表示の条件は、ページが(Googleの検索用の登録簿)に登録され、検索結果に説明文つきで出せる状態にあることです。これ以外に追加の技術的な条件はないとしています。

AI向けの新しいファイルや特別な目印も、作らなくていいそうです。

裏を返すと、普通の検索に出られないページは、GoogleのAIの回答にも出ません。だからGEO対策の初手は、地味な確認作業になります。正直、拍子抜けする社長も多いと思います。

中小企業こそ先に始めるべきか



規模による有利不利の根拠



「中小企業こそ先にGEO対策を」という言い方を見かけます。ただ、会社の規模によって、AIの回答に取り上げられやすさが変わると示した公式の資料は、確認した範囲では見つかりませんでした。なのでこの記事では、中小企業が有利だとも、急がないと手遅れになるとも書きません。

言えるのは、もっと控えめなことです。Googleは別のページで、小規模なローカルビジネスの経営者なら、SEOの作業の多くを自分で行えるだろうと書いています。GEO対策の土台がSEOと同じである以上、最初の手順も社内で進められる、というのがこの記事の立場です。

小さな会社が進めやすい理由



根拠のある話ではなく、進めやすさの話を2つ書いておきます。

1つは、答えを持っている人が近いことです。お客様がよく聞く質問への答えは、社長や営業の担当者の頭の中にあります。大きな会社のように、部署をまたいで確認を取る手間が少なくて済みます。

もう1つは、直す決定が早いことです。会社概要の古い記述を見つけたら、その日のうちに直せる会社も多いでしょう。

急がなくていい会社



反対に、紹介や既存のお客様からの注文が売上のほとんどで、ホームページからの問い合わせが年に数件という会社は、急ぐ必要はありません。ネットで調べて比べる、という入り口がそもそも小さいからです。

ただし、次に書く1手目の記録だけは、どの会社でも一度やっておく価値があります。お金はかかりませんし、AIが自社についてどんな説明をしているかを知っておくことは、商売の種類に関係なく役に立ちます。

GEO対策に手をつける前に、社内で回せる体制があるかを3分で確かめませんか?
細マッチョ企業診断 / 3 分 8 問
診断する

始める前に決めておく2つのこと

担当者と、毎月使える時間

最初に、誰がやるかと、毎月何時間使えるかを決めてください。担当者が決まらないまま始めると、1か月目の記録を取ったきり止まることがよくあります。 たとえば、総務と兼務の人が月に4時間、社長の確認が月に1時間。この程度の時間でも、3つの手順は回せます。大事なのは時間の長さより、毎月同じ日に同じ作業をする約束です。

狙う質問を10個に絞る

次に、お客様がAIに聞きそうな質問を10個書き出します。 一番早い集め方は、営業の担当者と、電話やメールを受けるスタッフに聞くことです。「最近お客様から何を聞かれたか」を5分ずつ聞くだけで、20個くらいはすぐに集まります。お客様が実際に口にした言い回しは、AIに打ち込まれる質問によく似ています。 集めた質問は、次の3種類に分けると選びやすくなります。 | 種類 | 質問の例 | 分かること | |---|---|---| | 比較や選び方 | 「〇〇工事 業者 選び方」「〇〇市 税理士 おすすめ」 | 候補として名前が挙がるか | | 費用や期間 | 「〇〇の費用はいくら」「納期はどのくらい」 | 自社の情報が使われるか | | 会社名 | 「株式会社〇〇 評判」「株式会社〇〇 何の会社」 | 自社の説明が正しいか | 上の例は、説明のために作った架空の質問です。10個のうち、会社名の質問を2〜3個は入れておいてください。候補に挙がるかどうか以前に、自社の説明が間違っていないかを確かめられるからです。

1手目 AIにどう答えられているかを記録する

聞く場所を決める

聞いてみましょう。決めた10個の質問を、実際にAIに打ち込みます。聞く場所は、最初は2つで十分です。Google検索(AIによる概要が出るかどうか)と、ChatGPTです。社内でほかのAIを使っている人が多ければ、それを加えても構いません。 聞くときは、なるべく毎回同じ条件にします。同じ担当者が、同じ質問文を、そのままコピーして使ってください。言い回しを少し変えるだけで、答えが変わることがあるからです。

記録表の作り方

結果は、表計算ソフトに次のような列を作って残します。 | 列 | 書き込む内容 | |---|---| | 日付 | 調べた日 | | 質問 | 決めた質問文をそのまま | | 聞いた場所 | Google、ChatGPT など | | 自社の名前 | 出た、出ない | | 自社のページへのリンク | あった、なかった | | 名前が出た他社 | 社名だけ控える | | 内容の正誤 | 正しい、古い、間違い | | メモ | 気になった言い回し | 画面の保存も残しておくと、後で見返すときに便利です。AIの回答は同じ質問でも日によって変わるので、1回出た、出なかったで判断しないでください。毎月同じ日に記録し、3か月分ほど並べて傾向を見ます。

名前が出た他社のページ

同じ会社の名前が、何度も出てくるはずです。そのときは、その会社のページを開いて、何が書かれているかを見てください。 料金の目安を数字で載せている、よくある質問のページがある、施工や相談の事例を具体的に書いている。そうした共通点が見つかれば、3手目で自社のページに何を足すかの材料になります。写すのは質問の選び方だけで、答えは自社の中身で書きます。

間違った説明を見つけたら

自社について、古い住所や終わったサービスが語られていることがあります。AIに文句を言っても直りません。AIの回答は、ネット上に公開されている情報をもとに作られます。直すべきは元の情報です。 自社のホームページのほか、、求人サイト、業界団体や商工会の会員紹介、昔作ったサービスサイトなど、自社の情報が載っている場所を洗い出してください。古い情報が見つかった場所は、3手目でまとめて直します。

2手目 AIと検索エンジンが読める状態か確かめる

Search Consoleで登録を確かめる

次は、自社のページが読める状態にあるかの確認です。先に書いたとおり、Googleの検索に登録されていないページは、GoogleのAIの回答にも出ません。 は、Googleが無料で出している、自社サイトの検索での状態を確かめる道具です。まだ登録していなければ、ここから始めてください。登録済みなら、URL検査という機能に、トップページ、会社概要、主なサービスのページのアドレスを1つずつ入れます。 URL検査では、そのページがGoogleに登録されているか、登録されていなければその理由が表示されます。直したあとに、もう一度見に来てほしいと依頼することもできます。 主なページが「登録されていない」と出たら、GEO対策の前にそちらを直すのが順番です。ホームページを作った会社に、表示された理由をそのまま伝えて相談してください。

robots.txtでAIの読み取りを止めていないか

は、サイトを巡回するプログラムに「ここは読まないでください」と伝えるための小さなファイルです。サイトのアドレスの後ろに /robots.txt と付けると、誰でも中身を見られます。 ここで見るのは、AIの会社の巡回プログラムを止めていないかです。OpenAIの説明では、役割の違う3つの名前が使い分けられています。 | 名前 | OpenAIの説明による役割 | |---|---| | | ChatGPTの検索結果にサイトを表示するため | | GPTBot | AIモデルの学習に使われる可能性のある内容を集めるため | | ChatGPT-User | 利用者の操作をきっかけにページを読みに行くため | OpenAIは、ChatGPTの検索結果に出るには OAI-SearchBot を許可するよう案内しています。一方で、学習に使われたくない場合は、GPTBot だけを個別に止められます。「学習には使われたくないが、検索には出たい」という会社は、この2つを分けて設定できる、ということです。robots.txt を変えてから反映されるまで、約24時間かかるとも書かれています。 Googleの側では、Google-Extended という名前で、Geminiの学習などへの利用を管理できます。こちらはGoogle検索への登録や順位には影響しないと、Googleが明記しています。 robots.txt に見慣れない名前が並んでいたら、自分で書き換える前に、ホームページの管理会社に意図を確認してください。セキュリティ対策の設定が、知らないうちにAIの巡回を止めている場合もあります。Googleも、robots.txt だけでなく、サーバーや配信の仕組みの側で巡回が許可されているかを確かめるよう書いています。

大事な情報を画像だけにしていないか

Googleは、重要な内容は文字で載せるよう勧めています。 中小企業のホームページで意外と多いのが、料金表や営業時間、対応エリアを、チラシの画像のまま貼っているケースです。人の目には読めても、機械には読み取りにくくなります。料金、対応エリア、営業時間、代表者名など、お客様が聞きそうな情報が画像の中だけにないかを確かめ、あれば文字でも書き添えてください。

3手目 公式情報をそろえ、質問に1ページずつ答える

自社の情報を1か所に書き出す

まず、会社の基本情報を社内で1枚にまとめます。正式な会社名、よく使う呼び名、住所、電話番号、代表者名、設立年、主なサービス名、対応エリア、営業時間。これを「正しい情報の一覧」として決めます。 そのうえで、1手目で洗い出した場所を順に直していきます。会社概要のページ、Googleビジネスプロフィール、求人サイト、団体の会員紹介。表記がばらばらだと、同じ会社だと読み取ってもらいにくくなるおそれがあります。 Googleは、AIの機能に向けたおすすめの中で、ビジネスプロフィールの情報を最新にしておくことを挙げています。店舗や事務所を構えて地域のお客様を相手にする会社なら、ここは優先して見直してください。ビジネスプロフィールの整え方はMEO対策の手順をまとめた記事にあります。

1つの質問に1つの答えを書く

基本情報がそろったら、最初に集めた質問に答えるページを作ります。進め方は単純です。 - 質問を1つ選び、見出しか題名にその質問をそのまま使う - 最初の2〜3文で答えを書く - そのあとに、理由、条件、例外を書く - 料金や期間は、幅があっても数字で書く - 最後に、自社に相談するときの窓口を書く たとえば、架空の設備工事会社なら「エアコンの入れ替え工事は何日前までに頼めばいいか」という質問に、1ページで答えます。最初に「繁忙期は3週間前、それ以外は1週間前が目安です」と書き、繁忙期がいつか、急ぎのときはどうなるかを続けます。ここに書いた日数も説明のための仮の数字なので、自社の実情に合わせてください。 よくある質問を1ページにまとめて並べる形でも構いません。ただ、答えが長くなる質問は、ページを分けたほうが読みやすくなります。1か月に1〜2ページずつでも、10個の質問なら半年ほどでひととおり答えられます。

社長しか書けない中身を入れる

ここで差がつきます。 ネット上には、どの会社でも書ける一般論があふれています。一方で、自社が実際にどんな順番で仕事を進めるか、どんなお客様からどんな相談が多いか、どこで失敗しやすいかは、社長や現場の人しか知りません。Googleが検索の評価で重視する(経験、専門性、権威性、信頼性)のうち、最初の「経験」にあたる部分です。 書くときは、誰が書いたのか、どんな経験がある人なのかをページに載せてください。お客様の名前や社外秘の数字を出す必要はありません。「こういう相談のときは、まずここを確認します」という、仕事の手順を言葉にするだけで十分な中身になります。 E-E-A-Tの考え方はE-E-A-Tの4つの要素をまとめた記事で詳しく書いています。

書いたページを見つけやすくする

作ったページは、トップページやサービスのページからリンクを張ってください。Googleは、内容がサイトの内部リンクから簡単に見つけられるようにすることも勧めています。どこからもリンクされていないページは、せっかく作っても読まれにくくなります。

GEO対策ツールは最初に要るか

最初の数か月は無料の道具で足りる

「geo対策 ツール」の検索数は年平均で月30回と小さいものの、2026年8月には月110回まで増えていました。有料のツールが気になっている人が増えているのだと思います。 ただ、ここまでの3つの手順に必要なのは、Search Console、表計算ソフト、そして普段使っているGoogleとChatGPTだけです。質問が10個、聞く場所が2つなら、記録にかかる時間は月に1時間ほどでしょう。 GA4を入れている会社は、問い合わせ数も月ごとに控えておいてください。AIの回答に名前が出ることと、問い合わせが増えることは、別の話です。両方を並べておくと、どこまで手をかけるべきかを判断しやすくなります。

有料ツールを考えるタイミング

有料ツールが役に立つのは、手作業では追いつかなくなってからです。目安は次のようなときです。 - 追いかける質問が数十個を超え、毎月の記録が続かなくなった - 複数のAIを、毎週のように比べたくなった - 競合の会社がどの質問で取り上げられているかを、まとめて調べたくなった この記事では、特定のツールの名前は挙げません。検討するときは、どのAIの、どんな質問を、どの頻度で調べられるのかと、その結果を社内の誰が見て何を直すのかを、先に決めておいてください。直す人が決まっていないと、報告の数字だけが増えていきます。

3か月の進め方の例

ここまでの手順を、3か月の予定に落とすとこうなります。あくまで一例なので、社内の事情に合わせて入れ替えてください。 | 時期 | やること | 担当の例 | |---|---|---| | 1か月目の前半 | 担当者と時間を決める、質問を10個集める | 社長、営業 | | 1か月目の後半 | 1回目の記録を取る、Search Consoleで主なページを確かめる | 担当者 | | 2か月目 | robots.txt と画像だけの情報を確かめる、基本情報の一覧を作って各所を直す | 担当者、管理会社 | | 3か月目 | 質問に答えるページを1〜2本作る、2回目と3回目の記録を取る | 社長、担当者 | 3か月たったら、記録表を並べて振り返ります。自社の名前が出る質問は増えたか、間違った説明は減ったか、問い合わせの数に変化はあったか。そのうえで、4か月目以降も同じ体制で続けるか、手が回らない部分を外に頼むかを決めます。

後回しでいいこと

AI向けのファイルを急いで置く

llms.txtのような、AIに向けた要約ファイルを勧められることがあります。Googleは、AIの回答に出るためにこうしたファイルは必要ないと説明しています。Google以外のAIでどう扱われるかは各社の説明しだいなので、置くとしても3つの手順が終わってからで遅くありません。

記事をAIで大量に作る

質問に答えるページを、AIで一度に何十本も作りたくなるかもしれません。けれど、どの会社でも書ける一般論を増やしても、先に書いた「社長しか書けない中身」は増えません。数を急ぐより、1本ずつ中身を確かめて出すほうが安全です。

目印の実装だけで済ませる

は、ページの内容を機械に伝えるための目印です。基本の整備としては意味があります。ただ、Googleは、AIの回答に出るために特別な構造化データは必要ないと書き、入れる場合は画面に見える文章と一致させるよう求めています。目印だけ入れても、中身が薄ければ取り上げる材料になりません。

引用を約束する提案に乗る

AIの回答にどのページを使うかを決めるのは、AIを提供している会社の仕組みです。外の会社が約束できるものではありません。「AIに載せます」と言い切る提案を受けたら、その根拠と、載らなかったときの扱いを聞いてみてください。業者の選び方はSEO対策代行の選び方の記事に点検表をまとめています。

外に頼むか判断するとき

3か月進めてみると、社内でできることと、できないことが分かれてきます。 社内に残しやすいのは、質問の収集、答えの中身を考えること、基本情報の管理です。どれも会社の中にしか材料がありません。 外に頼む候補になるのは、Search Consoleで見つかった登録の問題の修正、構造化データの実装、数十の質問を複数のAIで追いかける計測、書く時間がどうしても取れないときの原稿づくりです。 エクスバンクもSEOとAI検索への対策を支援しています。料金は、戦略設計、施策の提案、効果測定を行うSEOコンサルと月次レポートが月15万円から、月10本の記事制作と構造化データの実装まで含むプランが月35万円からです。AIに取り上げられるための取り組みとよくある質問の見直しを加える場合は、月8万円を追加でいただいています(いずれも税別)。詳しくはSEO対策サービスのページに載せています。 外に頼むかどうかにかかわらず、この記事の3つの手順は、社内に記録と材料を残すためのものです。先に手を動かしておくと、外の会社に何を頼み、何を自社で持つのかを、具体的に話せるようになります。

まとめ

GEO対策は、AIが文章で答える検索の中で、自社の情報を正しく取り上げてもらう取り組みです。Googleは、そのための特別な最適化は要らず、これまでのSEOの基本がそのまま当てはまると説明しています。 社員数十人の会社が最初にやることは、次の3つです。 1. お客様が聞きそうな質問を10個決め、AIにどう答えられているかを毎月記録する 2. Search Console と robots.txt で、自社のページが読める状態かを確かめる 3. 会社の基本情報を1つにそろえ、よく受ける質問に1ページずつ自社の言葉で答える 中小企業だから有利だとは言えません。ただ、答えを持っている人が近く、直す決定が早いぶん、この3つの手順は小さな会社ほど回しやすいはずです。まずは今月、質問を10個集めて、1回目の記録を取るところから始めてみてください。