📚 本記事は 4 本シリーズの第 4 回(最終回)です。
1. UTAGE API/MCPの実装制限と外部連携の現実解
2. Vercel/XServerのデプロイ先誤認を防ぐDNS確認手順
3. 診断ツールのタイプ判定アルゴリズム5つの落とし穴
4. (現在) //のGmail全PASS設定方法 ← この記事

5 月 5 日、午前 0 時 22 分。Gmail で開いたテストメールの「メッセージのソースを表示」を確認すると、3 行全て PASS の文字が並んでいました。

SPF:   PASS
DKIM:  'PASS' (Header From ドメインで署名)
DMARC: 'PASS'
ホスト名種別役割
(ドメイン)NSns1.xserver.jpns5.xserver.jpXServer に DNS 委譲
(ドメイン)AXServer の IPXServer 配下の IP アドレス
(ドメイン)MX(ドメイン)XServer メール受信
(ドメイン)TXT (SPF)v=spf1 +a:.xserver.jp +a: +mx include:spf.sender.xserver.jp ~allXServer 自動生成
default._domainkey.<ドメイン>TXTv=DKIM1; k=rsa; p=...XServer 標準 DKIM(自社発信用)
<セレクタ>._domainkey.<ドメイン>CNAME<セレクタ>.utage-dkim.comUTAGE 配信用 DKIM
_dmarc.<ドメイン>TXTv=DMARC1; p=none;DMARC(段階引き上げ用に none で開始)
# 権威 DNS で直接確認(これが新しい値を返せば切替成功)
dig @ns1.xserver.jp +short A <ドメイン>

Step 3: ⚠️ 既存 DMARC p=reject の存在チェック(最大の罠)

NS 切替直後、何の気なしに dig を叩いて既存 DMARC を確認すると、衝撃の値が:
$ dig +short TXT _dmarc.<ドメイン>
"v=DMARC1; p=reject"

p=reject。最厳格設定が既に有効でした。これは DKIM/SPF アライメントが取れないメールを Gmail が完全拒否する設定です。DKIM の CNAME 反映前に UTAGE から配信したら、全メールが拒否されて配信ロスト する状況でした。

突破: NS 切替時に XServer 側の DMARC レコードを p=none で初期化し、DKIM 反映完了後に段階的に厳格化する方針に切替えました。

v=DMARC1; p=none;

p=none は「DKIM/SPF が失敗しても受信トレイに配送する(警告のみ)」設定で、観測フェーズに最適です。

💡 KEY TAKEAWAYS
NS 切替前に旧 DNS の DMARC を必ず確認してください。p=reject が残っていると、新 DKIM の反映遅延中に配信ロストが発生します。

Step 4: UTAGE 管理画面で DKIM 認証を発行



UTAGE 管理画面 → 「メール・LINE 配信」→「DKIM 認証設定」→「追加する」 で送信元ドメインを入力すると、CNAME レコードが発行されます。

レコード名: <セレクタ>._domainkey.<ドメイン>
レコードタイプ: CNAME
値: <セレクタ>.utage-dkim.com

セレクタ部分は UTAGE 側がランダム発行するため、ドメインごとに異なります。

Step 5: XServer の DNS にレコード追加



XServer サーバーパネル → 「DNS 設定」→ ドメイン → 「DNSレコード追加」 で 2 件登録します。

1) DKIM CNAME
   ホスト名: <セレクタ>._domainkey
   種別: CNAME
   内容: <セレクタ>.utage-dkim.com

2) DMARC TXT
   ホスト名: _dmarc
   種別: TXT
   内容: v=DMARC1; p=none;

⚠️ ホスト名欄に .<ドメイン>含めない(XServer が自動付与)。これを書き込むと壊れた FQDN になります。

送信ドメインの認証、御社は何段階目まで進んでいますか?
細マッチョ企業診断 / 3 分 8 問
診断する

反映確認 — XServer NS 直接問い合わせ

レコード追加後、ローカルリゾルバ経由だとキャッシュで古い情報が返ります。XServer NS に直接問い合わせると即座に確認できます。
# 全 NS で一致しているか
for ns in ns1 ns2 ns3 ns4 ns5; do
  echo -n "$ns: "
  dig @${ns}.xserver.jp +short TXT _dmarc.<ドメイン>
done

# UTAGE DKIM CNAME の最終 TXT(CNAME 追跡)
dig +short TXT <セレクタ>.utage-dkim.com
# → "v=DKIM1; k=rsa; p=MIIBIjANBgkqhkiG9w0BAQEFAAOCAQ8AMIIBCgKCAQEA…"
  1. UTAGE で送信元アドレス(設定済の 任意@<ドメイン>)のテストメールを作成
  2. 自分の Gmail 宛に送信
  3. 受信メールを開いて 「︙」 → 「メッセージのソースを表示」
SPF:   PASS
DKIM:  'PASS' (ドメイン: <ドメイン>)
       header.s=<セレクタ>  ← UTAGE発行のセレクタで署名されている
DMARC: 'PASS'
フェーズTXT 値タイミング
Phase 1(現在)v=DMARC1; p=none; rua=mailto:postmaster@<ドメイン>DKIM 追加と同時または直前
Phase 2(1 週間後)v=DMARC1; p=quarantine; pct=25;DKIM 安定稼働確認後
Phase 3(2-4 週後)v=DMARC1; p=quarantine;quarantine 100 % 適用
Phase 4(1 ヶ月後+)v=DMARC1; p=reject;元の厳格運用に戻す
# 全レコード一括確認
DOMAIN=<ドメイン>
SELECTOR=<UTAGE発行セレクタ>

echo "=== NS ===" && dig +short NS $DOMAIN
echo "=== A ===" && dig @ns1.xserver.jp +short A $DOMAIN
echo "=== MX ===" && dig @ns1.xserver.jp +short MX $DOMAIN
echo "=== SPF ===" && dig @ns1.xserver.jp +short TXT $DOMAIN
echo "=== DMARC ===" && dig @ns1.xserver.jp +short TXT _dmarc.$DOMAIN
echo "=== UTAGE DKIM (CNAME) ===" && dig @ns1.xserver.jp +short CNAME ${SELECTOR}._domainkey.$DOMAIN
echo "=== UTAGE DKIM (最終TXT) ===" && dig +short TXT ${SELECTOR}.utage-dkim.com
echo "=== XServer 標準 DKIM ===" && dig @ns1.xserver.jp +short TXT default._domainkey.$DOMAIN

:::

次のアクション



送信ドメインの認証整備度は、Web マーケ全体の 配信基盤レベル を映します。SPF だけ設定済み、DKIM は未対応、というケースは Gmail 2024 年ガイドラインで配信が止まりつつあります。

御社の配信基盤が「変化に対応できる細マッチョ体型」かどうか、5 軸スコアで見える化したい方は 細マッチョ企業診断 でセルフチェックしてみてください。骨格(基盤)スコアが、配信基盤を含めたデジタル体力の指標になります。

→ シリーズ目次に戻る: UTAGE API/MCPの実装制限と外部連携の現実解