LINEで予約が入るまでの流れ
無料の組み合わせで何が起きるかを想像しやすくするために、予約が1件入るまでの流れを、お客様の側とお店の側に分けて見ておきます。
お客様の側はこうです。お店のLINEを友だち追加する。トーク画面の下に出ているリッチメニューの「予約する」を押す。予約ページが開くので、メニューと日時を選び、名前と電話番号を入れて送る。予約システムによっては、確認のメールやLINEが届く。ここまで、お客様はLINEアプリをほとんど離れずに済みます。
お店の側はこうです。予約システムに営業時間と定休日、メニューごとの所要時間を登録する。できた予約ページのURLを、LINE公式アカウントのリッチメニューのボタンに貼る。予約が入ったら、管理画面か通知メールで確認する。変更やキャンセルの連絡が来たら、管理画面で枠を直す。
難しいのは最初の設定よりも、そのあとの運用です。流れを見返すと、お店の側の作業のうち最後の「連絡が来たら直す」だけは、人の手で回していることが分かります。無料で始めたお店が困るのは、ほぼこの部分と、LINEで送れる通数の部分です。
もう一つ、お客様の側の流れで引っかかりやすいのは、予約ページで名前や電話番号を入れる場面です。LINEから開いたのに、また一から入力させられると、そこでやめてしまう人がいます。LINEとのひもづけまでできる予約システムなら、この入力を減らせるものもあります。有料プランやオプションに入っていることが多い機能なので、候補を比べるときは見ておいてください。
無料版で予約を取りこぼしやすい場面
ここからが本題です。無料の組み合わせで始めたお店が予約を逃しやすいのは、だいたい次の4つの場面です。
夜と定休日に来る問い合わせ
お店が閉まったあと、お客様は家でスマホを見ながら「来週行けるかな」と考えます。そこでLINEを送る。お店が気づくのは翌朝です。
翌朝に返信したとき、お客様はもう別のお店を予約しているかもしれません。予約システムにつないでいても、「駐車場はありますか」「子ども連れでも大丈夫ですか」といった質問が一つあるだけで、予約ページに進む前に手が止まります。
これは、実は無料のままでもかなり直せます。LINE公式アカウントには応答時間という設定があり、公式マニュアルによると、営業時間外だけ応答メッセージやAIチャットボットに自動で返信させられます。チャットをオンにしたままでも使えます。応答メッセージは通数に数えられないので、費用も増えません。
「営業時間外です。ご予約はこちらのページから24時間受け付けています」と返すだけでも、翌朝まで放置される状態はなくなります。よく来る質問を5つほど書き出して、キーワードごとに答えを登録しておけば、なおいいです。
お金をかけるべきなのは、質問が細かく分かれていて、決まった答えでは返しきれないお店です。訪問の見積もりや、症状を聞いてから枠を決める予約がこれに当たります。
日時の変更とキャンセルの連絡
いちばん地味で、いちばん現場を疲れさせるのがこれです。
予約は予約ページから入ったのに、変更の連絡はLINEのトークで来る。別のお客様は電話で来る。受けたスタッフが紙にメモして、予約システムを直すのを忘れる。すると、空いているはずの枠が埋まったまま表示されたり、逆に同じ時間に2人入ったりします。
こうなると、逃しているのは変更の連絡をくれたお客様ではありません。その枠に入れたはずの、別のお客様です。
対策は、お客様が自分で予約を変更・キャンセルできる画面を用意して、トークで連絡が来ても「こちらから変更できます」とそのページに案内することです。変更期限の設定は無料プランでも使える予約システムがあるので、まずは無料の範囲で試せます。
それでも、電話で来た変更を誰かが手で入力する作業は残ります。スタッフが複数いて、誰が受けたか分からなくなってきたら、スタッフごとの枠や、お客様ごとの予約履歴が残る有料プランを検討してください。来店の回数や間隔が見えると、
こともできるようになります。
前日のお知らせ
予約の前日に「明日◯時にお待ちしています」と送るだけで、うっかり忘れて来ない人は減らせます。問題は、これを誰が送るかです。
手で送るなら、閉店後に翌日の予約を見て一人ずつLINEを打つことになります。自動にしたいとき、無料プランでは2つの壁に当たります。
1つ目は、予約システムの無料プランにリマインドの自動配信が含まれていないことがある点です。先ほどのSTORES 予約では、スモールプラン以上の機能でした。
2つ目は、LINEで送るお知らせの通数です。予約システムからLINEで前日のお知らせを送る場合、それはお店側から送るメッセージになるのが普通で、お客様への返信とは扱いが違います。LINEヤフーの料金ページでも、Messaging APIのうちお店側から送る方法(Push APIなど)は通数に数えるとされています。どの方法で送っているかは予約システムによるので、提供会社に確認してください。
仮に1日3件の予約が月25日あれば、前日のお知らせだけで月75通です。無料のコミュニケーションプランは月200通なので、これだけなら収まります。ただ、同じ月に友だち全員へキャンペーンの案内を送ると、あっという間に足りなくなります。コミュニケーションプランは上限を超えて送れません。月末にお知らせが送れなくなる、という止まり方をします。
を上げたくて配信を増やしたいお店ほど、この壁に早く当たります。
予約が集中する月
無料の予約システムには、月の予約件数に上限があるものが多いです。STORES 予約のフリープランなら月50件でした。
普段は月40件で収まっていても、年末や新生活の時期、キャンペーンをした月だけ50件を超えることがあります。上限に届いたあとの予約がどう扱われるかは、サービスごとに違います。一番もったいないのは、忙しくて売上が伸びるはずの月に、予約ページが止まることです。
直近1年で予約が一番多かった月の件数を、無料プランの上限と比べてください。上限の8割を超えた月があるなら、その月の前だけでも有料プランに切り替える準備をしておくと安心です。
有料に切り替える目安
4つの場面を表にすると、判断の目安はこうなります。
| 当てはまる状態 | 無料のまま直せるか | お金を払う先 |
|---|---|---|
| 夜の問い合わせに翌朝まで返せていない | 応答時間と応答メッセージでかなり直せる | 質問が複雑なら、会話で聞き取れる予約の仕組み |
| 変更の連絡が電話とLINEに散らばる | お客様が自分で変更できる画面で一部直せる | スタッフ別の枠や履歴が残るプラン |
| 前日のお知らせを手で送っている | 件数が少なければ手作業で回る | リマインド自動配信のあるプラン、LINEの通数 |
| 予約件数が上限に近い月がある | 直せない | 予約件数の上限が大きいプラン |
表の右端に書いたものに、全部お金を払う必要はありません。当てはまった行だけで十分です。
では、いくらまでなら払っていいのか。計算はシンプルで、「1件の予約で入る粗利」と「月額の差」を比べます。たとえば1回の来店で粗利が5,000円のお店が、月額1万円の有料プランに切り替えるなら、逃していた予約が月2件戻れば元が取れます。一度来たお客様が何度も通ってくれるお店なら、
で考えると、判断はもっと有料寄りになります。
逆に、1日の予約が数件で、オーナーがすぐにスマホで返せるお店なら、無料のままで困らないことも多いです。有料にするのは、上の表のどれかが毎月続いているのを確かめてからで遅くありません。
業種で変わる判断
同じ4つの場面でも、どこが一番痛いかは業種で違います。
飲食店は、席の予約が中心で、当日や前日に入る予約も多い業種です。LINEヤフーの「LINEで予約」が使えるのは飲食店だけなので、すでに連携パートナーの予約サービスを使っているなら、まずそちらとLINEをつなげられるかを確認するのが近道です。
美容室やネイルサロン、整体院は、担当者と施術時間の組み合わせで空き枠が決まります。日時の変更が一番こたえる業種で、1件の変更で担当者の予定がずれていきます。スタッフごとの枠を持てるかどうかが、無料と有料の分かれ目になりやすいです。
修理や買取、住まいの相談のように、日時を決める前に「何をしてほしいか」を聞き取る必要がある仕事は、事情が違います。空き枠を見せるだけの予約ページでは足りず、夜に来た問い合わせにその場で質問を返せるかどうかが勝負です。ここは応答メッセージの定型文では返しきれないことが多く、会話形式で聞き取る仕組みにお金をかける意味が出てきます。
教室やレッスンは、同じ時間に何人まで入れるかという定員の管理が要になります。予約システムの無料プランで定員を設定できるか、キャンセルが出たときに空きが自動で戻るかを見てください。
自作という選択肢の手間
「line 予約システム 自作 無料」と調べる人もいます。
作れます。LINEには、外のプログラムからメッセージを送ったり受け取ったりするMessaging APIという窓口があり、これとGoogleスプレッドシートなどを組み合わせて予約を受けるやり方は、検索上位の解説記事でも紹介されています。
ただ、自作で費用が0円になるのは、作る人の時間を数えない場合だけです。実際に回し始めると、次のような作業が出てきます。
- 同じ枠に2人入らないようにする
- 変更とキャンセルを受けて、枠を戻す
- 前日のお知らせを決まった時間に送る
- LINE側や表計算ソフト側の仕様が変わったときに直す
- 動かなくなった日に、原因を探して直す
最後の2つが、自作でいちばん重いところです。作った人が忙しくなったり辞めたりすると、誰も直せない予約の仕組みが残ります。
予約は、止まった日の売上にそのまま響くところです。仕組みを作れる人が1人しかいないなら、自作はやめておいたほうが無難です。それでも作るなら、止まったときは電話予約に戻す、と決めてからにしてください。
知り合いや制作会社に作ってもらう場合も、考えることは同じです。作ったあと、誰が、いつまで、いくらで直してくれるのか。契約の前にそこを書面で確かめておかないと、無料で作ってもらったはずの仕組みに、あとから修理代がかかり続けることになります。
選ぶ前に書き出す確認事項
ツールの比較表を見る前に、自分のお店について次の4つを書き出してください。紙1枚で足ります。
1.
直近1か月の予約件数:一番多かった月の件数も
2.
予約が入った経路:電話、LINE、Webの予約ページ、来店時のうち、それぞれ何件か
3.
変更とキャンセルの件数:どの経路で連絡が来たか
4.
返信できる時間帯:誰が、何時から何時までLINEを見られるか
1があれば、無料プランの上限に届くかが分かります。2と3があれば、どの経路をLINEに寄せると楽になるかが分かります。4があれば、夜の問い合わせを自動にすべきかが分かります。
候補の予約システムを見るときは、料金ページで次の点を確認します。
- 月の予約件数の上限と、上限を超えたときの扱い
- 前日のお知らせをメールで送るのか、LINEで送るのか
- LINEで送る場合、LINE公式アカウントの通数を使うか
- お客様が自分で変更やキャンセルをできるか、その期限を決められるか
- 事前決済を使うときの手数料
最後の手数料は見落としがちです。STORES 予約の場合、事前のクレジットカード決済の手数料は、フリープランで5.2%から、有料プランで3.3%からと書かれていました(中小特別料率適用時)。前払いを多く受けるお店なら、月額より手数料の差のほうが大きくなることもあります。
候補が2つか3つに絞れたら、自分のスマホで予約を1件入れてみてください。友だち追加から予約完了まで何回画面を押したか、途中で入力をやめたくなったのはどこか。お客様と同じ手順を踏むと、比較表では見えない差が分かります。変更とキャンセルも1回ずつ試しておくと、お客様から連絡が来たときに慌てずに済みます。スタッフにも同じことをしてもらうと、自分では気づかなかったつまずきが出てきます。
もう一つ、予約ページまで来たのに入力をやめてしまうお客様がどれくらいいるかも、できれば見てください。
が高いなら、ツールを変える前に入力項目を減らすほうが効きます。予約ページを開いた人のうち、最後まで予約した人の割合を
と呼びます。入力欄を減らしたり並べ方を変えたりしてこの割合を上げる工夫を
といい、考え方は
フォーム離脱を減らす会話型UIの設計に書いています。
エクスバンクのLINE予約(BOOKBOT)の料金と向き不向き
最後に、弊社のサービスも載せておきます。
BOOKBOTは、エクスバンクが作っている会話形式の予約システムです。入力欄がずらっと並んだフォームの代わりに、1問ずつ質問して答えてもらう形で予約を受け付けます。LINEと連携すると、お客様のLINEと予約をひもづけて、予約完了のお知らせや予約前のお知らせをLINEで自動送信できます。問い合わせにはAIが返信の下書きを作り、人が確認してから送る管理画面もあります。
| プラン | 料金(税別) | 内容 |
|---|---|---|
| BOOKBOT スタンダード | 月5,000円 | 1サイト、基本機能、管理画面 |
| BOOKBOT プロ | 月15,000円 | LINE連携、
、広告の成果計測 |
| 業種別テンプレート導入支援 | 初期50,000円 | 業種に合わせた質問の流れを用意 |
LINE公式アカウントの運用ごと任せたい場合は、LINE運用基本が月30,000円(税別)、そこにBOOKBOT連携を足すと月15,000円(税別)の追加です。LINEの中で予約から支払いまで済ませたい場合は、
や
との連携もご相談いただけます。
向いているのは、予約の前に聞き取りが必要なお店や会社です。業種別テンプレートは、不動産、修理、買取、士業、訪問サービス向けに用意しています。「どこが壊れているか」「何を売りたいか」を聞いてから日時を決める予約は、会話形式と相性がいいです。
反対に、美容室やネイルサロンのように、席とスタッフの枠を細かく管理して、指名や施術時間ごとに空きを出したいお店には、それ専用の予約システムのほうが合うことがあります。その場合は、無理にBOOKBOTをおすすめしません。LINE公式アカウントの応答設定や通数の使い方のほうをお手伝いします。
どちらにするか迷ったら、先ほどの4つを書き出したものを見せてください。無料のままで直せる部分があれば、先にそちらをお伝えします。